<DeNA5-4阪神>◇25日◇横浜

 大台到達には不似合いなマウンドだった。何とか試合は作ったが、阪神ランディ・メッセンジャー投手(33)は普段見せないしぐさをたくさんみせた。素手で捕手からの返球を受け取ったり、グラブで口を覆って叫んだり、ボールに息を吹きかけたり…。5回9安打3失点で、3者凡退は1度もなかった。試合開始が29分遅れ、最後までリズムを取り戻せなかった。

 「修正できなかった。リズムの悪い投球になってしまった。もっと長いイニングを投げなければいけなかった」

 1回にもらった4点リードを有効活用できなかった。先頭打者の出塁を3度許し、中西投手コーチが5回のうち3回ベンチを飛び出すほど不安定だった。それでも何とか粘ったが5回に崩れた。無死から3連打で満塁とされると柳田に押し出し死球。1死を奪ったが、代打後藤に今度は押し出し四球を与えた。この試合5四死球を与え球数も120球を要した。

 ただフラフラのなかでも今季フル回転してきた男に、勲章が加わった。5回1死満塁から石川を中飛に打ち取り、今季200イニングに到達。阪神の外国人では89年キーオ以来の大台到達だった。掲げていた目標の1つを達成し「唯一この試合でよかったこと」。この日のように中4日もこなすタフネスぶりが数字にとなって現れた。

 「キーオは知っているよ。でも比べられない。今とは野球が違うんだ。自分はスピーディーを意識しているんだ」

 記録を達成するたび聞く先人の名前。以前は少しだけプライドをのぞかせたが、この日ばかりはそれもどこ吹く風。5回を投げ終えたボールはスタンドに投げ込んだ。後続が崩れ14勝目は消えた。勝てば当確ランプが点灯していた最多勝レースも足踏み。残り登板数は1試合。その後はCSも待っている。今季6勝6敗のビジターでの試合なら、不安も残る。虎党は強いメッセを、待っている。【池本泰尚】

 ▼メッセンジャーの投球回が200回1/3に。阪神投手の200イニング超えは11年能見200回1/3以来で、外国人では89年キーオ201イニング以来25年ぶり。阪神投手のシーズン最多投球回は、62年村山の366回1/3。外国人では、64年バッキーの353回1/3。