<日本ハム3-2オリックス>◇27日◇札幌ドーム

 日本ハムファンの歓声と、オリックスファンの悲鳴が交錯した。延長10回、中田の打球が左翼席に突き刺さった。守護神平野佳寿投手(30)が、ぼう然とそれを見送った。まさかのサヨナラ被弾。2日前に点灯させたマジックが、かき消された。ここ7試合で3セーブを挙げる一方、4度目のサヨナラ打を浴びた平野佳は「真ん中で打たれたので特に…。まだ明日試合があるので」とだけ言い残しバスに乗り込んだ。

 最後の正念場は、厳しいスタートとなった。この日から札幌、千葉、仙台、福岡、再び仙台という10泊11日の長期遠征。だが、いきなりトラブルに巻き込まれた。神戸空港から新千歳空港行きの全日空便が、機体整備のため出発が遅延。午前10時半出発予定の便に、タイヤの不具合が発生し、選手は空港で2時間以上待ちぼうけを食った。タイヤを交換し、やっと出発したのは午後0時43分。2時間10分遅れで新千歳空港に着き、バスで札幌ドーム入りしたのは同3時50分だった。試合開始も同6時半に変更。練習時間も約30分短縮した。

 8連戦の途中のトラブルで疲れは倍増したはずだが、2点を先制。得意の継投で逃げ切るはずだったが、最後に暗転した。森脇監督は「勝負はここから。ペナントの流れはホークスよりオリックスにある。今季はここでのサヨナラ負けから始まったんだから」と強気に言い切った。下を向く暇はない。【高垣誠】

 ▼オリックスはサヨナラ負けでマジックが消滅。オリックスは今月4度目のサヨナラ負けとなったが、8日楽天戦(松井稼の左本)9日楽天戦(嶋の中安)20日ロッテ戦(岡田の左2)27日日本ハム戦(中田の左本)とすべてサヨナラ打を浴びたのは平野佳。月間4本のサヨナラ被安打は01年8月豊田(西武)以来、13年ぶりの屈辱だ。

 ▼ソフトバンク、オリックスの両チームとも正式なマジックは出ていないが、「隠れマジック」はソフトバンクが3、オリックスは6の状態。ソフトバンクは早ければ明日29日にも優勝が決まる。29日Vの条件はソフトバンクが28日日本ハム戦○、オリックスが28日ロッテ戦●、29日楽天戦●。オリックスの最短Vは10月2日。