<阪神1-0DeNA>◇29日◇甲子園

 阪神大和外野手(26)がサヨナラ勝利をお膳立てした。延長10回、無死一、二塁で打席に立った。ここでDeNAは左腕林を投入してきた。重圧のかかる場面だったが、相手のシフトを見極めて、きっちりと三塁側へ転がした。リーグトップを独走する50個目の犠打が、ゴメスのサヨナラ犠飛へとつながった。

 「1球で決められてよかった」

 試合後の言葉にこだわりがうかがえた。「2番打者」の自覚を胸にキャンプから自主練習の時間をバントに割いた。特に1球で決めることに集中した。攻撃の流れを切らないための鉄則だった。今季はバントを決めても、1球で決められなければ、納得できなかった。「全然だめです…」。結果的に犠打となっても自分を責めた。その積み重ねが球団では10年平野の59個以来、3人目となるシーズン50犠打となった。

 「数字より、あそこで決められてよかったです」

 バットでは、この日も2安打で8試合連続安打。9月の打率は、4割3分5厘と驚異的だ。それでも、大和は2番打者として、勝負どころでの仕事に充実感を漂わせた。打ってよし、送ってよし。ポストシーズンでも、打線のつなぎ役を任せられそうだ。【鈴木忠平】

 ▼大和が2安打1犠打で勝利に貢献。9月に入り打率4割3分5厘(62打数27安打)で、8月までの2割3分5厘から急上昇。また今季の犠打が50個に。阪神打者のシーズン犠打50以上は、88年和田豊56個、10年平野恵一59個に次ぎ3人目。