<広島7-6ヤクルト>◇9月30日◇マツダスタジアム

 広島が本拠地でのクライマックスシリーズ開催に「王手」だ。ヤクルトとの打ち合いを制し、この日敗れた3位阪神とのゲーム差を再び1に広げた。今日1日の阪神戦で勝てば文句なしの2位決定。もし敗れても、今季最終戦となる5日の巨人戦で勝つか引き分ければ2位が決まる。好調な打線が、CS地元開催を呼び込む。

 最後はカープ史上屈指の安打製造機、菊池涼介内野手(24)が決めた。同点で迎えた8回裏2死一、二塁。1ボール2ストライクから山本哲の内角低めフォークをすくい上げた。「バッティング練習の気持ちで打席に入りました。楽に、と。練習では芯に当たれば飛ぶと思っているので」。肩の力を抜いて、左翼頭上を大きく越える決勝二塁打を記録。シーソーゲームに決着をつけた。

 直前の1球、内角シュートをファウルにした際、バットを折っていた。「悔しいですね、貴重な1本を」と冗談交じりに振り返った。天日干しにして大切に使ってきたバットの1本を折られても、心は冷静だった。「次は決めにくると思っていた」。最多安打争いで単独トップに立つシーズン186安打目は、初の本拠地CS開催を大きく引き寄せる一打となった。

 28日ヤクルト戦は3安打、29日同戦は4安打、そしてこの日は2安打と絶好調だ。シーズン2試合を残し、球団記録の04年嶋重宣(189安打)にあと3本まで迫り、37二塁打は球団記録に並んだ。7回の守備では、自身の持つ二塁手セ・リーグ記録を更新する529補殺を達成。「よく飛んできますね」と照れ笑いだ。

 野村監督も今季一番の手ごたえを感じていたのだろう。笑みを浮かべながら「いや~。途中、オレも苦しかったけど、選手はもっと苦しかったと思う。でも、こんなこと言っちゃ申し訳ないけれど、ある意味、開き直ったというか、しびれる試合ができるな、と。みんな成長したな、というのが正直な気持ち。勝つなと思った」と語った。

 今日1日は阪神との直接対決。勝てば文句なしにCS地元開催が決まる。同監督は「大一番だね。とにかく勝ちにいくんだけど、萎縮せずにね。これだけ苦しんできたんだから最後はいい思いをしたいね」と決意を語った。菊池も「今日も大事だったけど、今となってはむしろ明日の方が大事。全員で白星をつかみたい」。苦しい試合を制した勢いを持って大一番に臨む。

 ▼二塁手シーズン529補殺のセ・リーグ新記録=菊池(広島)

 30日のヤクルト24回戦(マツダ)で今季の補殺が529となり、菊池自身が昨年マークした528補殺を抜くセ・リーグ新記録となった。

 ▼2位広島が勝利し、3位阪神が敗れたため、広島は2位確定へ「マジック1」とした。1日の阪神戦に勝つか引き分ければ2位決定。阪神戦に敗れても、5日の巨人戦で勝つか引き分ければ2位が決まる。