<楽天3-7オリックス>◇9月30日◇コボスタ宮城

 さあ、10・2最終決戦だ。オリックスが連勝し、首位ソフトバンクとの差を勝率1厘差とした。楽天に2点を先行されたが、4回に糸井の同点19号2ラン、縞田の3年目でのプロ1号など劇弾が飛び出し、連夜の逆転勝利。エース金子は7回を3点で投げ終え、ハーラー単独首位をキープする16勝を挙げた。明日2日のソフトバンク戦に向け、きょう敵地・博多に乗り込む。

 勢いは間違いなく、オリックスにある。連敗すれば優勝がなくなる楽天2連戦。いずれも劣勢をはね返した。逆転の連勝で、決戦の地・博多へ。4回、打者10人の猛攻撃でペナントレースの主導権を握り直した。

 無死一塁で糸井が楽天塩見の初球スライダーをとらえた。右翼スタンドへの同点19号2ラン。「いい形で後ろにつなぐことを考えていたんですが、入ってくれてよかったです」。首位打者争いで楽天銀次にトップを譲り渡したが、この日記録した1安打は値千金弾だった。

 前日9月29日の楽天戦で右肩の首付け根近くに死球を受けた。試合後は、痛めている左膝に加えて右肩もアイシング。だが、グラウンドに立てば超人になる。

 糸井の一撃が打線に火をつけた。ペーニャ、竹原の連打でつくった無死一、二塁の好機でT-岡田がしっかり犠打を決め、1死二、三塁。川端の勝ち越し犠飛、相手の暴投で4-2としたあと、楽天を突き放したのは縞田のプロ3年目での初本塁打だった。塩見のスライダーを左翼スタンドに打ち込んだ。「切れるな!」と祈りながら全力疾走。打球の行方を知り、やっと緊張を解いた。

 「優勝争いしている中で1本打てて本当にうれしい。試合に出していただいているんですから、やっぱり打たないと」。プロ初のヒーローインタビューで、起用に感謝した。

 プロ1年目の12年9月14日。本拠地・京セラドーム大阪の楽天戦で「2番・遊撃」で先発出場。プロ初打点を挙げながら、3失策した。失点につながる悪送球に、ベンチで頭からタオルをかぶり、涙にくれた。試合後も「申し訳ないです」と答えるのがやっとだった。「あの試合は絶対に忘れません」という苦い経験から2年。左手首への死球で本調子でない平野恵の代わりに二塁を守り、優勝戦線で活躍する内野手に成長した。

 勝率1厘差までにソフトバンクに迫り、博多へ。「悔いのないように挑んでいく」という指揮官に「次の試合も絶対に勝ちます」と糸井も呼応。さあ、決戦だ。【堀まどか】

 ▼オリックスが勝ち、首位ソフトバンクとゲーム差なしに詰め寄った。2日のソフトバンクとの直接対決に勝てば優勝マジック1が再点灯し、残る楽天2試合に連敗しない限り最短4日にも18年ぶりのリーグVが決まる。ソフトバンクは公式戦最終戦となる2日の直接対決に勝てば自力で3年ぶり優勝が決定。敗れればV条件は4、6日にオリックスの●●だけとなる。