球界に2人目の二刀流が誕生するかもしれない。ロッテが9月30日、QVCマリンでスカウト会議を開き、西日本短大付の小野郁投手(17)を上位候補にリストアップしたことが分かった。ロッテは小野を総合的に高く評価。現段階では、最速153キロの投手としての評価の方が高いものの、高校通算25本塁打の野手の線も消さずに見ていく考えだ。

 小野は今夏の大会の目前に左手首を骨折。打撃はドクターストップがかかっていた。投手としても左手を十分に使えない分、本来とは違うフォームでの投球を余儀なくされた。それでも自己最速をマークするなど底知れない身体能力の高さを見せた。負傷する前から注目していた永野吉成チーフスカウトは「何よりもハートがいい。気持ちが強い」と絶賛した。

 西日本短大付の西村慎太郎監督は高校時代の同期だった元日本ハム新庄剛志外野手と比較しても「総合力ではこっち(小野)の方が上」と言い切る。二刀流の話題性だけでなく、実力も確かとなれば見逃す手はない。観客動員の少なさに悩むロッテとしても、将来的に球団の顔になれるような新人の獲得は至上命令。うってつけの選手だといえる。

 ◆小野郁(おの・ふみや)1996年(平8)10月23日、福岡・久留米市生まれ。南薫小2年から南薫エンゼルスで軟式野球を始める。櫛原中では硬式の久留米中央ボーイズ。西日本短大付では1年夏からベンチ入り。同秋からエース。球種は直球、縦のスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、カットボール。遠投100メートル、50メートル走6秒2。右投げ右打ち。176センチ、71キロ。