5連敗中のソフトバンク秋山幸二監督(52)が燃焼指令を出した。9月30日、本拠地ヤフオクドームで全体練習。冒頭に「自分たちのできることをやろう。燃えて、燃えてやろう」と45秒間の訓示に熱を込めた。「返事が小さい!」の声に選手たちは驚いて「ハイッ!」。144試合目までもつれ込んだ「10・2」の優勝決定戦。普段はつくったことのない、ピリッとした空気をドームに埋めた。

 ここ10試合で1勝9敗という失速で、シーズン最終戦を球団史に残る一戦に仕立ててしまった。いくつか条件はあっても、オリックスとの直接対決に勝てば優勝という分かりやすい状況。「結果はどっちかに出る。緊張感はあるよ。選手もだが、おれもコーチもこんな経験したことがない。『10・8』みたいだな」。94年10月8日。同率首位で並んだ巨人と中日が直接対決で優勝を争った伝説にダブらせた。

 当初は打撃練習だけの予定を、シートノック、投手と内野の連係プレーなど守備も加えた。居残りでロングティー打撃をした内川は「今までも打撃をつくる時はロングティー。大事と思った」と原点に戻ってバットを振った。

 3年ぶりの優勝はすぐそこだ。選手会長の松田が言った。「楽しみじゃないですか。世紀の『10・2』ですね。9イニングで今年の運命が決まる。ここまで来たら力と力の勝負。勝てばいいというのは分かりやすい。ビビッてもしょうがない」。祝勝会用のビール3000本もスタンバイ。あとは主役になるだけだ。【押谷謙爾】