<広島7-6ヤクルト>◇9月30日◇マツダスタジアム

 クライマックスシリーズ広島開催、きょう決める!

 広島が苦しみながらヤクルトとの接戦を制し、2位へのマジックを「1」とした。野村謙二郎監督(48)は「ここまで苦しんだ。最後はいい思いをしたい」ときっぱり。きょう10月1日、3位阪神との大一番に臨む。

 苦しい試合だった。だが指揮官は今季一番の手応えを感じていたのかもしれない。クールな野村監督が、終始、笑顔を浮かべながら、喜びの言葉をほとばしらせた。

 「いや~。途中、オレも苦しかったけど、選手はもっと苦しかったと思う。でも、こんなこと言っちゃ申し訳ないけれど、ある意味、開き直ったというか、しびれる試合ができるな、と。みんな成長したな、というのが正直な気持ち。勝つなと思った」

 ルーキー九里を中3日で繰り出す苦しい台所事情。大事な試合で最下位ヤクルトにいきなり2点を先制された。それでもナインはめげない。3回に逆転すると、4回に加点。その直後に追いつかれてしまったが、あきらめない。5回に代打松山が的中し、勝ち越し2ランが出た。また追いつかれる。それでも負けない。8回、菊池は千金の勝ち越し打。最後は不振のミコライオが締めて逃げ切りだ。

 「打たれているミコ(ライオ)がね、球場の声援に後押しされてね。しかも、最後に一番当たっている打者(雄平)に回るなんて、これも試練だなと。でも我々の財産になった」

 甲子園で0封負けした阪神に1ゲーム差をつけた。1日阪神戦(マツダスタジアム)、5日巨人戦(同)に連敗しなければ、2位が確定。念願のCS地元開催が実現する。2位へのマジックは「1」だ。

 「大一番だね。とにかく勝ちにいくんだけど、萎縮せずにね。これだけ苦しんできたんだから最後はいい思いをしたいね。本当にみんな粘ってやってくれた」

 最後は選手への称賛で締めた。昨季は3位で球団初のCS出場を果たしたが借金3だった。しかし今季は貯金を持って挑めることが決まっている。しかも地元開催という大きな成果を得るのは、目の前だ。【編集委員・高原寿夫】