<セCSファーストステージ:阪神1-0広島>◇第1戦◇11日◇甲子園
マエケンキラーの本領を発揮した。阪神福留孝介外野手(37)が0-0の6回、広島前田からバックスクリーンに決勝ソロを放った。PL学園の後輩に今季打率5割を誇る6番打者の1発で、チーム初のCSシリーズ突破に王手をかけた。阪神のポストシーズン初戦勝利は、日本一になった85年以来、29年ぶり。今日2戦目で一気に決着をつける。
勝負を決める弾道がセンターへ伸びた。黄色と赤。歓声と悲鳴。甲子園を真っ二つに割るコントラストの中、白球はバックスクリーンに衝突。打った福留は一塁を回ったところで右手を突き上げた。
「常に積極的にいこうと思っていた。走者もいなかったし、打てるところにきたら何でもいってやろうと思っていた」。6回1死。カウント3ボールとなった。今季対戦打率は5割。前田が投げづらそうにしているのは明らかだった。変化球をファウルした後、150キロの速球を仕留めた。
福留のリベンジは1年前に始まっていた。昨年10月13日、CSファーストステージ第2戦。福留は負傷交代し、チームも敗れた。わずか63試合、打率1割9分8厘でシーズン終了…。阪神1年目は最悪の形で終わった。その日のクラブハウス、鳥谷が毎年、シーズン後に「断食」を行うことを聞いた。即決した。鳥谷にもらった酵素ドリンクだけで3日間。イメージ通りに動かない体をリセットすることから再出発した。
今季の開幕第3戦、西岡と激突して負傷した直後には、和田監督に言われた。「守備だけでもいいから出てくれ」。指揮官の言葉を意気に感じた。必要とされるのであれば全力で貢献すると決意した。鎖骨骨折と肺挫傷。バットを振ることですら痛む体をかばいながらも出場を続けた。苦しみの時を経て、今、ようやく福留はバットマンとして納得できる状態になった。
前日10日に来季続投が正式に決まり、気持ちも新たに臨んだ指揮官は「全員が集中して1つのボールを追うという、非常に気合の入った試合だった」と満足顔だった。シーズン3度しかなかった1番西岡、2番上本の組み合わせでマエケン攻略に挑んだ。5度目のCSで初の白星発進。「明日、何とか一気に決めたい」と力を込めれば、福留もお立ち台でファンに誓った。「去年、広島に2つやられているので、明日勝って決めたいです!」。あの屈辱から1年。猛虎にも、福留にも、勝たなければならない理由がある。【鈴木忠平】
▼阪神は福留の本塁打で1-0勝利。プレーオフ、CSの1-0勝利は6度目で、1-0本塁打は81年第1戦柏原(日本ハム)、12年1S第2戦バレンティン(ヤクルト)に次いで3本目。阪神は日本シリーズ、CSを通じて初のポストシーズン1-0勝利となった。公式戦で9月以降の福留は打率3割5分7厘、4本塁打、13打点で、勝利打点はゴメスと並びチーム最多の4度。9月12日広島戦で勝ち越しの押し出し、同14日広島戦で先制本塁打、同26日広島戦で逆転本塁打と、9月以降の広島戦4勝のうち3勝は福留がV打点だった。
▼阪神が先勝し、ファイナルS進出に王手をかけた。阪神のCS出場は5度目だが、第1戦に勝ったのは初めて。日本シリーズを含めたポストシーズンで第1戦の白星は、日本一になった85年日本シリーズ以来、29年ぶり。03年日本シリーズからのポストシーズン第1戦連敗を6で止めた。昨年まで3試合制のプレーオフ、CSでは第1戦に勝って王手をかけた17チームのうち15チームが1Sを突破。突破確率88%と高く、阪神が初のファイナルS進出なるか。



