<パCSファーストステージ:オリックス3-6日本ハム>◇第1戦◇11日◇京セラドーム大阪

 情熱タクトがさく裂した。期待するヤング戦力たちが躍った。日本ハム栗山英樹監督(53)が、感動の嵐に身を委ねた。会心すぎる1勝に酔った。勝者の弁も弾む。「選手がみんなキラキラしていたよね」。青年監督の風情を残す53歳は、両目を糸のように細くして笑った。

 至極の一手が効いた。7回1死一、三塁。大谷が同点にされた直後だった。打者は中島。初球からサインはセーフティースクイズを選択した。一塁走者は盗塁王、快足の西川。栗山監督は最善策を熟慮した。「(西川は)簡単に盗塁はできる」と踏んでいたが、あえて二、三塁にすることを避けた。投手からのけん制球に備え、一塁手は極度な前進守備を敷けなくなる。西川を足止めし、成功確率が高まる環境を整えた。

 以心伝心だった。中島は「セーフティーは頭にあった」と想定済み。さらに「内角球に絞って、一塁側へ」と脳裏で整理できていた。カウント1-0からの2球目。岸田の内角球を一塁側へと強めに転がし、決勝点を奪った。大谷が勝利投手になり、CS初出場の中島がお立ち台に立った。ヒーローを生み出した。「ポイントがこれだけ多い。(選手が)キラキラできたのは大きい」。独特の言い回し、原石たちを手腕で輝かせた。ファイナルステージへ向かう、完璧な下地ができた。【高山通史】

 ▼日本ハムは7回、中島のスクイズが決勝点。ポストシーズンで勝利打点がスクイズは、75年日本シリーズ第5戦大橋(阪急)80年プレーオフ第2戦マニエル(近鉄)12年CSの1S第1戦今宮(ソフトバンク)に次いで4度目。今季の公式戦で中島の送りバント成功率は9割2分7厘(安打になったケースを含む)と高く、スクイズも7月31日ロッテ戦、8月13日ロッテ戦、同16日西武戦、9月27日オリックス戦とチーム最多の4度決めている。