<セCSファーストステージ:阪神0-0広島>◇第2戦◇12日◇甲子園

 大舞台に強い阪神西岡剛内野手(30)は健在だった。初戦の4打数無安打もなんのその、2戦連続の1番起用に内野安打2本の3安打猛打賞でこたえる。さらに三塁では、スーパートリックプレー。2回の大和の好返球を素知らぬ風情で待ち受けて、滑り込む梵の右足にタッチ!

 攻守に仕事人ぶりを全開した。

 鉄壁のディフェンスで広島の攻撃陣を寄せつけなかった。西岡が究極のタッチプレーで、しのぎ合いを制した。試合はまだ序盤の2回。1死一塁。小窪の詰まった打球が中前に落ちる。中堅大和が猛チャージする。エンドランでスタートを切っていた一塁走者の梵が三塁に駆け込んでくる。大和の送球は三塁へ。なのに、三塁西岡はまったく捕球姿勢すら取らない。

 その瞬間だ。ノーバウンドの捕球直前に腰をかがめて猛烈な速さで滑り込む梵の右足にタッチした。間一髪のアウト。大和との共同作業で先発能見をもり立てる好守を演じた。

 策士らしいアクションだった。西岡が「やる気のないフリ」をみせたのは、緻密な計算があったからだ。

 「僕もランナーをするけど、たまに捕手がやってて『ボールが来てないのかな』と思ってしまう。スキがあったと思わないけど、ああいうプレーでアウトにできたらいいと思っていた」

 走者は背後からの送球が見えない。守る野手らの動きから球の位置を判断するが、鮮やかすぎるトリックプレーを見せつけた。憤死した梵も広島ベンチも信じられない表情を浮かべた。

 この日も1番で出場。1回と6回は先頭で遊撃方向への内野安打を放ち、8回には左翼線へのライナーで安打を刻む。スタメン復帰2戦目でリードオフマンらしさを取り戻した。

 執念でドローに持ち込み、第1関門を突破した。「こういう戦いがCS。これから日本シリーズでもこういう戦いが続く。守りきるのは難しい」。打って守って、そして敵を欺く。よみがえったくせ者が、王者巨人をかく乱する。【酒井俊作】