<パCSファーストステージ:オリックス1-2日本ハム>◇第3戦◇14日◇京セラドーム大阪

 森脇オリックスが力尽きた。延長戦にもつれ込んだCSファーストステージ第3戦。10回に守護神平野佳が中田に決勝弾を浴びた。2日の対戦で目の前でリーグ優勝を決められ涙したソフトバンクへのリベンジ、96年以来の日本一への挑戦は道半ばでついえた。

 その瞬間、一塁側ベンチが静まりかえった。延長10回。2イニング目となった守護神平野佳が、中田にどでかいアーチを浴びた。中堅駿太は振り返っただけで、追いかけるのをやめた。バックスクリーンに弾んだ1発で、オリックスの14年シーズンが終わった。ゲームセットを見届けると選手も首脳陣もぼうぜんとし、しばらく動けなかった。

 森脇監督は「ホークスとの再戦は来年に持ち越せない。どうしてもそこまでいきたかったが、ここで力尽きたということ」と悔しがった。10・2決戦でソフトバンクにサヨナラ負けし18年ぶりの優勝を逃した。そのとき涙した悔しさを晴らすこともできなかった。

 初戦黒星から連勝、逆転でファイナルステージ進出を狙った第3戦は、駿太の初回先頭打者本塁打で始まった。先手を取ったものの、先発西が6回1死一、三塁で代打稲葉に適時打を浴びて同点。互いにしのぎ合うギリギリの勝負も、最後は1球に泣いた。ペーニャに続き、平野恵がこの日、出場選手登録を抹消。頼みの糸井が5打数無安打で、8、9、10回と得点圏に走者を進めながら得点できない拙攻にあえいだ。開幕日本ハム戦の延長サヨナラ負けから始まった今季は、同じ相手に延長戦で敗れる幕切れとなった。

 指揮官は試合後、ミーティングを行った。金子、糸井らタイトルホルダーをたたえ、選手の労をねぎらった。「我々の14年は終わった。明日からは15年シーズンが始まる。それぞれが秋のキャンプ、来年春のキャンプに向けしっかり準備してくれ」と訓示した。準備の大切さを説いた1年。来季もそこから始める。悔し涙をうれし涙に変えるために。【高垣誠】