<セCSファイナルステージ:巨人1-4阪神>◇第1戦◇15日◇東京ドーム

 巨人はエース内海哲也投手(32)が立ち上がりに3失点し、阪神に敗れた。先頭西岡の左前打から4番ゴメスの2ランまで。たった8球の出来事だった。原監督の「10球に満たない状況だったかな。重い3点になった」との言葉に尽きた。

 長年の巨人ファンは、微妙な変調に気付いただろう。試合開始直前、ベンチ前で行う最後のキャッチボールが違った。普段はゆったりとしたワインドアップに時間のほとんどを費やし、投球フォームを確認してからマウンドに向かう。この日はセットポジションの確認に終始していた。最後の1球は、必ずと言っていいほどワインドアップの直球で終わる。ここも、セットでのスライダーだった。

 少しの不安を抱えていた。打者相手の最終調整となった9日の1カ所打撃。結果は安打性1本と上々だった。しかし、セット時にボールがややシュート回転していた。生真面目な左腕は、この大きな試合の直前まで悩み、課題をチェックしていた。「ブルペンの調子は悪くなかったので、いけると思ったんですが。チームに申し訳ない気持ちでいっぱいです」。調子が良かったのではなく、悪くなかった。解消しきれなかった狂いが、ボールの高さに表れていた。

 自身も「打たれたボールは、すべて高かった」と認めた。1回1死二塁、鳥谷への初球スライダー。続くゴメス、3球目のチェンジアップ。ボール1個半、高かった。揺さぶりが生命線のエースにとって致命傷だった。ただ光明はあった。3回。1点を失いなお無死満塁。絶体絶命からボールが低く収まりだした。フォームの欠陥に気付き、ゲーム中に修正した可能性が高い。中3日での第5戦は十分にある。粘り腰が信条。このまま終わる男ではない。【宮下敬至】

 ▼先発内海はCS通算4敗目(1勝)。プレーオフ、CSで4敗は、5敗の斉藤和(ソフトバンク)ソフトバンク時代の杉内(現巨人)に次ぎ、チェン(中日)と並んで4人目。セ・リーグではワーストタイ。1回にゴメスに2ランを許したが、通算被本塁打4も高橋尚(DeNA)チェンと並んでセのワーストとなった。内海は日本シリーズでは通算5勝(1敗)と史上9位タイの勝利数だが、同じポストシーズンでもなぜかCSでは勝てない。