<パCSファイナルステージ:ソフトバンク3-2日本ハム>◇第1戦◇15日◇ヤフオクドーム

 痛恨の敗戦の中でも、日本ハム大谷翔平投手(20)は光っていた。左前へCS初安打を放った7回だ。左翼・内川が緩慢にカットマンへ返球するのを見逃さず、一気に二塁を陥れた(記録は二塁打)。

 「打球も弱かったし、ある程度は決めてました。カットに返す傾向も出ていた。(先の塁を狙うのは)ウチの野球。少ない好機をものにするのは、シーズン中もやってきたことなので」

 続く小谷野の捕手前へのバントで三塁へ激走し、赤田の内野ゴロで本塁に生還。投げる、打つの「二刀流」だけではない。走るという3つ目の武器で、一時は勝ち越しとなる得点を生み出した。

 試合前には、ブルペンで37球を投げた。野手での出場が続いているが、次回登板へ向けて、投手調整も手を抜くわけにはいかない。そんな中でCS初安打を放ち、足でも魅せた。栗山監督も「勝てていたらアイツの走塁がでかかった」。帰塁の際には、首脳陣から禁止令が出ているヘッドスライディングも行った。ワンプレーワンプレーに、全力で臨んだ。

 勝利投手となったファーストステージ初戦に続き、大きく貢献できるはずが、土壇場でどんでん返しを食らった。アドバンテージを含め2勝差をつけられた。だが「浦野さんもいい投球をしていたし、試合の流れ的には悪くない。明日(16日)切り替えてやりたいです」。走塁と同じだ。勝利だけを目指し、真っすぐに先を見た。【本間翼】