<パCSファイナルステージ:ソフトバンク3-2日本ハム>◇第1戦◇15日◇ヤフオクドーム
日本ハムが下克上へ重要な第1戦をサヨナラ負けで落とした。1点を追う7回に中田の本塁打や大谷のCS初安打などで一時逆転に成功。ルーキー浦野博司投手(25)も8回まで1失点と粘投したが、9回1死二、三塁のピンチに守護神増井浩俊投手(30)が二塁打を浴び、万事休す。アドバンテージを含め1勝1敗の五分に戻す勝利を目前で逃した。
残酷な白球が、中堅へ舞った。守護神増井は悟った。9回1死二、三塁。守護神増井は、うなだれた。吉村へのカウント0-1からの2球目。鼓膜に響いた快音が、終戦を告げた。外野は前進守備。陽岱鋼が全力で背走して追った。グラブの先を完璧に抜けた。三塁側ベンチで託した栗山英樹監督(53)ら首脳陣、選手たちも一瞬で表情を失った。1点リード、最高の幕切れへの仕上げに向かった最終回。走者2人が本塁を駆け抜けていった。
逆転サヨナラ負け。栗山監督はベンチに腰を下ろし、固まった。しばし視線を宙に泳がせた。珍しく言葉のトーンが乱れた。「もう少し点を取ってフォローしてあげないといけなかった」。結果論だが敗因になった継投策ではなく、打線を含めた自身の戦略に勝敗の分岐点を求めた。ソフトバンクが持つ1勝のアドバンテージを含め2敗。衝撃的な黒星で一変した雰囲気も加味すれば、絶対的不利へ追い込まれた。
勢いが倍加する大金星を手中に収めかけていた。先発のルーキー浦野が8回まで1失点。9回にクロッタ、増井と勝利の方程式を構成する、切り札2枚を残していた。指揮官が信頼を寄せる厚沢投手コーチは、舞台裏を明かした。「7、8回と3者凡退に抑えて(浦野続投で)迷いはなかった」。逃げ切れば、浦野は新人投手の日本シリーズ、CSを含めてポストシーズンの初戦に限れば史上初の勝利投手だった。前例のない会心の抜てき劇が、土壇場で未完成に終わった。
公式戦で9回完投を1度だけ経験している浦野だが、プロ入り最多127球の熱投をさせた。先頭打者の李大浩への四球をきっかけに逆流した。ソフトバンクとの今季対戦防御率はクロッタは0・82、増井は2・53。栗山監督は「増井、クロッタは(無失点で)通らない気がした。浦野が(抑える)確率が高い」と感じ、続投の選択をした。四球直後にスイッチの選択肢もあった。浦野に託し結果論だが、致命傷になった。「シナリオは踏んでいる。誰も悪くない」と後悔はないが、後味の悪さは残った。
帰り際。充血した瞳で、気を取り直した。「まだ1敗できるんだから」。最大残り5戦で0勝2敗と、劣勢に拍車がかかった。ファーストステージを突破した勢いも、減速した。初戦必勝、そして流れ。短期決戦を左右する重要な要素を、失った。【高山通史】



