<パCSファイナルステージ:ソフトバンク4-12日本ハム>◇第3戦◇17日◇ヤフオクドーム

 日本ハム陽岱鋼外野手(27)が、力強く復活宣言だ。初回に先制のソロ、2回には3ランと、2打席連続本塁打を放った。ファーストステージから前日まで打率9分5厘と不振を極めていたが、この日だけで3安打5打点と“激変”した。主砲中田とともに役者がそろい踏みし、下克上での日本シリーズ進出へ反攻態勢は整った。

 スーパー猛攻の仕掛け人が、感極まった。陽岱鋼がヒーローインタビューで、しっぽりとした。「泣きそうになった。ずっと打てなくて…」。おどけたハッスルトークが恒例だが封印した。第2戦までCS5戦で計21打数2安打、打率9分5厘、12三振と強烈なスランプ。一気に2本塁打を含む3安打5打点でトンネルを抜けた。「(チーム)みんなの思いが…」と胸が詰まった。

 完璧な速攻ショーだった。1回2死。エース摂津を沈めた。摂津の狙いとは逆球、外角直球。逆らわずにバットの芯を合わせた。目いっぱい伸ばした両腕に力、思いを込めた。右翼へ先制ソロ。「気持ちがすごく楽になった」。

 2回2死二、三塁。内低め138キロを豪快にさばいた。広い敵地のバックスクリーンへ突き刺した。1度フェンスを越え、打球が跳ね返りグラウンドに戻った。一時は安打のジャッジ。アピールでビデオ判定となり、到達していた三塁で結果を待った。認められて2打席、2イニング連続本塁打。「入ったと思った」と確信通りになった。

 予告弾だった。前夜は、なぜか「マリアノ」と呼ぶが日本人の仲良し、水原通訳とサッカーゲーム。今季は大好きだった酒を控え、自制に努める。引きこもり生活をCSでも実践中。晩酌代わりにテレビ画面とにらめっこして気分転換し、ふとつぶやいたという。「明日は打つ」。有言実行すぎる大爆発で闇を抜けた。2本とも、甘くはないコースの直球を仕留めた。価値ある目覚め。主役がそろい踏みで、大どんでん返しの芽はできた。【高山通史】

 ▼陽岱鋼が1回に先制アーチ、2回にダメ押し弾と2打席連続本塁打。プレーオフ、CSで1試合2本塁打は11人、12度目の最多タイ。2打席連発は08年小笠原(巨人)以来8人目で、このうち2イニング連発は5人目。いずれも日本ハムでは初めて。