<セCSファイナルステージ:巨人4-8阪神>◇第4戦◇18日◇東京ドーム

 阪神が巨人に4連勝し、9年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。6番福留孝介外野手(37)がマートンとの連続本塁打でたたみかけた。

 巨人への、東京ドームへのリベンジだった。初回、マートンの先制3ランが飛び出した直後だった。小山の内角速球を振り切った。静まり返ったオレンジ色の右翼スタンドに突き刺さる追撃弾。宣言していた通り、一気に決めた。「4つで決めたいと、みんな集中していたから、初回にああやって点が取れたんだと思う」。

 3月30日の開幕第3戦、ライト前にフラフラと上がった打球を追って西岡と激突した。病院へ救急搬送された西岡はほぼシーズンを棒に振り、福留も後遺症を抱えたまま4月、5月とどん底であえいだ。2回に西岡にも1発が飛び出すと、お互いに抱き合った。苦しんだ後輩とともに因縁の場所で悪夢を清算した。

 阪神移籍後、走塁や守備に対する高い意識、勝負強さを持ち込んだと称賛される。ただ、本人は言う。

 「俺としては今まで通りにプレーしているだけ。ただ、意識のない選手がいれば、俺はこう考えていると言わせてもらった」。勝負への厳しさ、強さを勝ちきれない虎に持ち込んだ。苦悩の日々を越え、勝負の秋に輝いた男が日本シリーズへの扉を開いた。【鈴木忠平】

 ▼福留がCS6試合全試合で安打を放ち、通算打率3割3分3厘(21打数7安打)の活躍で突破に貢献した。中日時代には日本シリーズに2度出場も、打率1割5分8厘、1本塁打、2打点(CS出場はなし)。阪神での13年CSファーストステージ広島戦では2試合で4打数無安打。苦手のポストシーズンで、ようやく好結果を出した。