<SMBC日本シリーズ:阪神6-2ソフトバンク>◇第1戦◇25日◇甲子園

 破竹の勢いで勝ち続ける阪神が、日本シリーズも白星発進した。CSで広島や巨人に4連勝した勢いは衰えず、ソフトバンクを投打で圧倒した。自身のルーキーイヤー以来29年ぶりの日本一をかけた決戦でも、和田豊監督(52)は「平常心」で指揮し、ポストシーズンは1分けを挟んで6連勝。負け知らずのまま頂点まで駆け上がりそうな勢いだ。

 勝利を祝うジェット風船が舞い、阪神ファンで埋め尽くされた甲子園が「和田コール」に包まれた。9年ぶりに出場した日本シリーズで快勝発進。勝利監督インタビューでお立ち台に上がった和田監督は「皆さんの声援が力になりました」と感謝した。

 1週間前のCSでセの王者・巨人を寄せ付けなかった強さは、日本シリーズでも変わらなかった。4番ゴメスを軸とした打線が、4回と5回の2イニングで6点を奪う猛攻を展開し、序盤は均衡していた試合の流れを一気に引き寄せた。

 和田監督

 右のエースのメッセが先に点を取るまで粘り強く投げて、ゴメスが4番の仕事をしてくれた。マートン、福留がしっかりつないでくれて、本当にいいゲームができました。

 テーマを「平常心」と繰り返した。本拠地での大きな期待は、一方で硬さを生む。「もちろん、高ぶりはあるよ。これをゲームでいかに平常心に戻すか」。ベンチではいつものように両腕を組み、ゴメスの先制二塁打では両手を6度もたたいて喜んだ。

 決戦前のクラブハウスでは選手に語りかけていた。「今シーズンの集大成、楽しんで、思い切ってプレーしてくれ。1年間支え続けてくれた裏方さんのためにも勝とう。全国のタイガースファンを喜ばせられるように頑張ろう!」。1週間前の18日、巨人撃破で球団初のCS突破を決めた。「初めて選手が躍動した姿を見られた。CSを勝ち抜いたことより、うれしかったよね」。教員志望だった指揮官は、ナインの成長した姿に涙した。この日も躍動は止まらずスタメン野手全員出塁の9安打で6得点。投手陣も盤石のリレーで会心発進した。

 勢いや弾みという意味を持つ「モメンタム」をポイントとしていた。「メッセがしっかりと抑えながら流れを引き寄せて、CSファイナルからの流れがつながった」。日本シリーズの白星スタートは、日本一になった85年以来。スタンドには早くも「日本一まで

 あと3勝」のボードがあった。「本拠地のアドバンテージがあるので、明日を取って五分くらいの気持ち。取って福岡へ行きたい」。強き猛虎は、もう止まらない。【近間康隆】

 ▼阪神が第1戦に勝利し、03年第6戦からのシリーズ連敗を6で止めた。阪神が第1戦に勝ったのは62年東映戦、85年西武戦に次いで29年ぶり3度目。これで阪神はCSから1S○△、ファイナルS○○○○、シリーズ○と無傷6連勝。ポストシーズンの連勝記録には75年阪急がプレーオフ第2戦からの7連勝があるが、初戦から6連勝は79、80年近鉄、07年中日の5連勝を抜く新記録だ。なお、過去64度のシリーズで先勝したチームは41度優勝しており、V確率は64%。