<SMBC日本シリーズ:阪神6-2ソフトバンク>◇第1戦◇25日◇甲子園

 9回はもちろん、この男が締めた。阪神守護神・呉昇桓投手(32)がさっそうと甲子園のマウンドに表れ、ひょうひょうと仕事をこなした。これがポストシーズン7連投。レギュラーシーズンから12試合連続の登板となった。

 それでも「(巨人とのCSファイナルステージで)4連勝して休む期間があったので、体の状態はよかった」と言うように、石直球は健在だった。

 先頭の中村を中飛、今宮を二直と2死。極め付きは代打長谷川へのフルカウントからの7球目。外角低めに148キロ直球をビシッと決めた。見逃し三振。ナインと歓喜のハイタッチ。いつもと違うのは、日本一へ前進する大きな1勝の儀式になったことだ。

 ブルペンから試合を見守った呉昇桓の目にも、打線が頼もしく映った。

 「同じチームでこういうことを言うのもあれですけど、序盤に大量得点を取ってもらうと、後を投げるのは楽。序盤を見ていて打線の感触もよかったように思う」

 4点のリードを背に、守護神の右腕がうなりを上げた。和田監督も「同じ勝つでも、しっかりと流れを止めるという意味で、あそこは点差に関係なく福原、スンファンだった」と投入を迷わなかった。それを意気に感じるのが、呉昇桓だ。【宮崎えり子】