<SMBC日本シリーズ2014:ソフトバンク5-2阪神>◇第4戦◇29日◇ヤフオクドーム

 ソフトバンク中田賢一投手(32)が記録的な乱調により、3回2失点でマウンドを去った。1回。簡単に2死を奪いながら急変した。鳥谷を歩かせると、ゴメスとマートンには1球もストライクが入らない。日本シリーズのイニング最多タイ記録となる3者連続四球で満塁のピンチを招いた。福留を空振り三振でしのいだが…。荒れ球は「暴れ馬」と呼ばれた男の持ち味の1つだが、ほとんど制御がきかなかった。

 2点リードの3回も1死から3者連続四球。1試合に2度も記録したのはシリーズ史上初めて。マートンに犠飛、福留には適時打を浴びて同点とされ、この回でマウンドを降りた。「見ての通りです。チームが勝ってよかった」と胸をなで下ろした。今季は7四球を与えながら完投勝利したこともあったが、ベンチも我慢の限界だった。

 中日時代に3度日本シリーズに登板。「重圧か?」と問われ、力なく言った。「言い訳はしない。それが理由にならない」。今季11勝を挙げた右腕が、今季最後の先発マウンドは、ほろ苦さしか残らなかった。【押谷謙爾】

 ▼中田が1回と3回に3者連続与四球。1イニングに3者連続与四球は08年第6戦東野(巨人)が4回に記録して以来8人目のワーストタイ記録で、1試合2度だけでなく、1人で2度記録したのも中田が初めてだ。ソフトバンクは中田6個、東浜2個と、与四球が合計8個。四球を8個以上与えながら勝利したチームは、95年第3戦ヤクルト以来、19年ぶり。