楽天が来季の投手コーチとして、今季までソフトバンクで2軍投手コーチを務めた吉田修司氏(47)と、元楽天コーチの杉山賢人氏(45)の招聘(しょうへい)に向けた準備を進めていることが30日、分かった。吉田氏には1軍、杉山氏には2軍のポストをオファーする。合意次第、発表される。

 左腕王国へ向けた人事だ。楽天は、今季限りで1軍の佐藤投手コーチが退団した。2軍は酒井チーフ投手コーチが監督となったため、投手コーチ2人の後任探しを進めてきた。条件は「左投げ」であること。昨季までの投手コーチは、1軍、2軍あわせ4人全員が右投げだった。松井裕、森、大塚ら20歳前後の若い左腕が多い。彼らを大きく育てるためにも、新任コーチには左投げの人物を求めている。

 そこで、リリーフのスペシャリストだった吉田、杉山の両氏に白羽の矢を立てた。吉田氏は89年に巨人入団。94年途中にダイエー(現ソフトバンク)に移籍した後、左の中継ぎとして活躍した。藤井、篠原、ペドラザとの〝勝利の方程式〟の一員となり、99年のダイエー初優勝に大きく貢献した。楽天は1軍のブルペン担当を任せる方針で、左の中継ぎ強化を狙う。

 杉山氏は93年、西武入団。1年目から鹿取、潮崎とのストッパートリオで活躍し、新人王に輝いた。引退後は06年から4年間、楽天で1軍投手コーチを務めた。退団後も解説者として楽天戦の中継に携わっており、冷静かつ的確な語り口に定評がある。中継前のグラウンドで自ら積極的に選手に取材するフットワークの軽さも持つ。チームの現状を把握しているのは強みだ。

 ◆吉田修司(よしだ・しゅうじ)1966年(昭41)11月29日、愛知県生まれ。滝-北海道拓殖銀行。88年ソウル五輪に出場し、同年ドラフト1位で巨人入団。94年途中にダイエー、07年オリックスに移籍し引退。98、01年最優秀中継ぎ投手。08年は茨城GG所属。13、14年ソフトバンク2軍投手コーチ。通算533試合37勝32敗23セーブ、防御率3・57。左投げ左打ち。

 ◆杉山賢人(すぎやま・けんと)1968年(昭43)12月12日、静岡県生まれ。沼津学園-専大-東芝。92年バルセロナ五輪に出場し、ドラフト1位で西武入団。93年7勝2敗5セーブで新人王。99年阪神、00年近鉄、01年横浜に移籍し引退。02~05年横浜で打撃投手などを務め、06~09年楽天投手コーチ。通算333試合17勝13敗17セーブ、防御率3・91。左投げ左打ち。