打点王の阪神ゴメス、来季は「今年以上」

 ズバリ3割30発120打点がターゲット!

 来日1年目から打点王を獲得するなど4番で大活躍の阪神マウロ・ゴメス内野手(30)が、来季の自己記録更新を誓った。2日に甲子園を訪問し自信を漂わせた。このオフは母国ドミニカ共和国でのウインターリーグ参加を回避し充電。現地でも、日本で好物になった「焼き肉」に舌鼓を打ちパワーアップを目指す。

 丸太のような腕、分厚い胸板が自信の表れだった。肌寒くなった甲子園クラブハウスの駐車場でも、ゴメスは白いTシャツ1枚。日本シリーズの激闘を終えて3日がたったが、早くも来季を見据えていた。目標を問われると、首をかしげながら、こう言い切るのだ。

 「打点も、ヒット数も今年以上っていうのは、もちろん目標にしている。それが普通じゃないか。そうしない理由があるのか?」

 今季は143試合に出場して打率2割8分3厘、26本塁打、109打点の好成績を収めたが、慢心はまるでない。1年間戦い、ゴメスの特徴や傾向は他球団に丸裸にされた。来季は、より弱点を突く配球で勝負を挑まれるのは間違いない。先輩のマートン、かつてのバースですら、大活躍した1年目に比べると成績はやや低下した。「2年目のジンクス」をはね返し、主砲らしく「3割30発120打点」が射程目標だろう。

 近日中にドミニカ共和国に帰国した後は激戦続きだった体を癒やす。例年ならウインターリーグでプレーするが、今年は不参加の方向だ。「シーズンが長かったからね。今年は出ないつもりさ」。来年に向けてパワーをフルチャージする。ただ休むだけではない。帰郷を前にして、ちゃっかり情報収集もしていた。

 10月下旬の日本シリーズ直前。兵庫・西宮市内で、球団関係者から焼き肉ディナーで激励された。夫人とともに箸を器用に使いこなし、ウェルダンの肉を堪能。長女にアップルジュースを飲ませているときだ。すっかり日本の好物になった焼き肉の話題で盛り上がり「ドミニカでも食べられるよ!」と聞くと目を輝かせた。「帰ったら、妻や子どもと行ってみるよ!」と笑う。忘れられない味も助っ人の支えになる。

 ゴメスが紹介されたのが、首都サントドミンゴにある「SAMURAI」という日本食レストラン。焼き肉メニューには神戸牛も並び、すしや刺し身、寄せ鍋やうどんなどさまざまな日本料理を提供している。同国で数少ない日本料理店でも老舗。街の中心部にあり、政界人や財界人にも利用者が多いという名店を、お気に入りに加えた。

 ペナントレース、ポストシーズンともに4番の存在感が際立った。だが誰もが一筋縄でいかないのが2年目のシーズン。しっかり好物で力を蓄え、迫り来る白球を野武士のようにバッサバッサと斬りまくる。【酒井俊作】

 ◆阪神助っ人の「食は文化なり」

 マートンは2年目となる11年1月、来日しての第一声が「牛丼を食べたくてしょうがなかった」。「日本食」では牛丼のほか、ラーメンやすしも好物になったという。メッセンジャーは登板前日にラーメンを食べるのがルーティンになったほど。日本シリーズ開幕前にも「ラーメンはもちろん食べるよ。行く店は秘密だよ」。遠征先にもそれぞれ、お気に入り店がある。