国内FA権を保有していた阪神能見篤史投手(35)がFA宣言して残留することを6日、明言した。3年の大型契約を用意して慰留してきた球団の誠意にこたえる形で、事実上の“生涯虎宣言”。甲子園で練習を終えた後、報道陣に向き合い、すがすがしい表情で口を開いた。

 「宣言残留することになりました。まだ契約には至っていないんですが、いろいろ話をさせていただいている中で、すごく誠意というか、必要とされていると感じた。貢献できるようにしたい」

 国内FA権を取得した今季、シーズン中から球団は3年の大型契約を用意して慰留にあたっていた。その誠意が伝わった形での残留宣言。この日、FA申請書類を球団に提出。FA権を行使すれば、次の取得は4年後になる。あえて権利を行使しての残留は事実上の“生涯虎宣言”だった。

 「もちろん、そうですね…」

 猛虎への愛着を問われると本人は、はにかんだ。ただ、交渉にあたっていた高野球団本部長が「彼とは長い付き合いですけど一本気な男ですから。阪神への愛着じゃないですか」と話すように、誠意に対して誠意でこたえた末の残留決着だった。

 能見は今季、3年連続の2ケタ勝利こそ逃したが、クライマックスシリーズ、日本シリーズでは先発の中心としてチームに貢献した。契約についての細部を詰めるのはこれからだが、懸案だった投手陣の一角が来季も安定することは間違いない。キャプテン鳥谷のFA決断に揺れる猛虎にあって、生え抜き左腕の残留は今オフ最初のグッドニュースだった。