パイオニア魂を背負ってMLBオールスターに立ち向かう。侍ジャパン大谷翔平投手(20=日本ハム)が9日、ヤフオクドームで行われた全体練習に参加。日本代表での背番号「16」を初お披露目した。尊敬する日本人大リーガーのパイオニア、野茂英雄氏(46)がドジャースで最初に与えられた番号と同じ。「必然でした」と不思議な運命を感じる数字を背に、12日から始まる日米野球へ本格始動した。

 数奇な縁を感じていた。大谷は同学年の藤浪とキャッチボールし、先発陣用のダッシュのメニューなどを消化。「基本的には(日本ハムと)同じ練習です」と話すが、不思議と笑顔があふれる。躍動感のある背中には見慣れない「16」が輝いていた。イメージするのは当然、あの人だ。「野茂さんと言ってほしいんですか?

 いや、でも野茂さんしかいないです」。尊敬する日本人大リーガーの先駆者の顔を思い浮かべながら、汗を流した。

 野球の神様に導かれるようだった。日本ハムでの「11」は当初メンバー入りしていた西武岸が選択。チーム最年少で最後に空き番の中から選んだが、意中の数字が奇跡的に残っていた。「必然でした。16を選んでくれと言うような。それしかないなと」と即決。野茂氏は近鉄時代は「11」。戦う場をメジャーに求めた95年はドジャースで「16」だった。トルネード投法で全米を熱狂させた偉大な先人。MLBオールスターと真っ向勝負を挑む大谷も、同じ背番号の系譜を選んだ。

 今季はあこがれの「パイオニア」の先輩と親交を深めてきた。2月の沖縄・名護キャンプ。野茂氏が12球団で最初に視察したのが、日本ハムだった。目的は大谷。投打「二刀流」の良き理解者の同氏から、壮大な挑戦を後押しする言葉をかけられた。キャンプ中には陽岱鋼の仲介で会食も実現。シーズン中も食事をともにする機会に恵まれ、野球観を共有しあってきた。

 モチベーションも上がる背番号で挑む日米野球へ、気持ちも高ぶってきた。「今はワクワクする気持ち。試合が近づけば、責任感が出てくると思います」。周囲には金子、前田ら各球団の一線級の投手がゴロゴロいる。「球種のこととか聞いてみたい」と、積極的にコミュニケーションを図るつもりだ。リラックスムードで初日の練習は終了。じっくりと、かつて大リーガーを手玉に取った野茂氏のような投球を見せる準備を進める。【木下大輔】