キーマンはウメノだ!

 元阪神の「最強の助っ人」ランディ・バース氏(60)が19日、来季のキーマンに2年目を迎える梅野隆太郎捕手(23)を指名した。本塁打量産を期待し、85年日本一の戦友・掛布DCに背番号44の後継者への指導を依頼。サンタクロース姿で阪神百貨店のイベントに参加したバース氏は、球団創設80周年の来季、メモリアルイヤーVに向けて和製大砲の台頭を望んでいた。

 バース・サンタから虎党へのプレゼントは梅野の「本塁打打者計画」だ。2年連続3冠王を獲得するなどの実績はもちろん、来年80周年を迎える猛虎の歴史で、唯一の日本一に輝いた85年をバットで支えたバース氏の意見はシンプルだ。

 「今年は日本シリーズに進出するなど惜しかった。でも来季ももっと打たないとだめだろう。特に本塁打だ。本塁打がたくさん出れば勝てるんだ」

 自身が54発でキングに輝いた85年は、掛布40本、岡田35本、真弓34本と4人だけで163発。当時のチーム本塁打記録219本を更新し、1発で打ち勝った記憶は今でも強いようだ。

 「日本人で20本打つ選手が4人出てくれば、それだけで80本。ゴメスはコンスタントに30本以上打てるだろうし、マートンも2ケタはいける。本塁打は意識することが大事だよ」

 そんなバース氏が期待をかけるのが自身がつけた44番の後継者・梅野だ。今季中、掛布DCから、その存在を聞かされたという。

 「掛布サンは『梅野はパワーがあるしリトル・バースだ』と言っていた。そういう選手が必要。でもパワーだけじゃない。本塁打を打つには技術が必要だ。それを教えてあげないと。本塁打は実際に打った人が教えるべき。掛布サンがいる。掛布サンに頼みたいね」

 来春は1軍キャンプで指導プランのある掛布DCに、梅野への英才教育を希望。さらに自身の“本塁打コーチ”就任の話題にも「話はないけどね。あればもちろん」と前向きだ。1軍実績のある選手でいえば福留や新井、今成ら20発以上を放つ力を持つ選手はいる。それでも23歳梅野に着目するように、若手の台頭はチーム底上げに欠かせない。今オフの秋季キャンプで成長した陽川や、21Uワールドカップに出場した北條をはじめ、中谷、一二三、横田ら原石はいるだけに、若手成長が虎党への何よりのプレゼントに違いない。

 梅野は1年目の今季7本塁打。一気に本塁打が3倍となれば、バース氏の望む1発打線実現へ夢は間違いなく広がる。【高原寿夫】

 ◆阪神のシーズン20本塁打

 外国人選手を除き過去20人がマークし、最近では10年城島(28本)が最後。現12球団では広島(最後の20本以上=09年栗原23本)中日(同10年和田37本、森野22本)楽天(同10年山崎28本)とともに枯渇。和製大砲の育成が課題になっている。