背番号1を“剥奪”された中日堂上直倫内野手(26)が危機感をあらわにした。26日、まばらになったナゴヤ球場に姿を見せると、練習に没頭。黙々とバットを振った。年の瀬ムードはなし。「来年が勝負かなと思う。今年はレギュラーをとれなくて体力のなさを実感した。後悔せずに毎日を過ごせるようにやっていく」と熱く語った。今季は90試合に出場してスタメンは69試合。つかめそうで、つかめない。悔しさだけが残った。

 兄の思いが背中を押す。来季からは63番をつける。戦力外となり巨人の育成選手となった兄剛裕の背番号だ。11月の契約交渉で1番剥奪を告げられ「どうせ変わるなら気合の入るものがいいと思った」と自ら選んだ。「まだ実感はないけど楽しみという部分もある」。再出発にふさわしい番号が気持ちを前に向かせる。

 チャンスは十分にある。遊撃のポジションは来季も不透明。エルナンデス、谷、三ツ俣らと争う。この日は練習の合間を縫って英智外野守備走塁コーチの号令で松井雅、祖父江らと球場周辺を清掃。表情も晴れやかだ。「打率、出塁率を上げたい。ココというところでもしっかりつなげたい。自分の力が上がれば戦える」。地元出身のかつてのドラフト1位が経歴も一新して、勝負の年に向かう。【桝井聡】