果てしなく広がる未来の輪郭は描かれていた。日本ハム大谷翔平投手(20)は何を思い、何を目指して今季、これから先へと向かうのか。昨季限りで現役を引退し、今年から日刊スポーツ評論家として活動する建山義紀氏(39)が、前途あふれる後輩の実像へ迫った。「3年目」「二刀流の魅力」「夢のメジャーとは」。ポイントになる3つのキーワードごとに互いが、真っすぐに本音をぶつけ合った。【取材・構成=高山通史、本間翼】◆夢のメジャー

 高校卒業時に抱いた大リーグへの夢。今、どう位置づけているのだろう。

 建山氏

 昨年11月の日米野球をチェックした米国の評論家へ、大谷翔平がアメリカで通用することをまざまざと見せつけた。ただ辛口の記者は、通用する素質があることは分かったと。この先どう変わっていくかを我々は見守りたいと話すにとどめた。それが非常に印象的だった。僕は、やっていける投手になる印象を受けた。行く先にあるメジャーをどう想像している。

 大谷

 最初(高校卒業時)は行きたかったところですし、日米野球もやってすごいなというか、こういうレベルの勝負がしたいなとは思いました。行く、行かないではなく、そのくらいのレベルの選手、そのレベルで活躍できる選手になりたいとは思いました。

 建山氏

 日本人選手は恵まれてアメリカに行くケースが多い。通訳がいて、トレーナーがいて、いきなりメジャー契約で何十億ももらえて。反対に中南米の選手は、いい選手でも必ず1Aからマイナーを経験してメジャーへというステップを踏んでいる。米球界では日本人選手は、すごくうらやましく見られてる。そんな中でぜひ、英語もしゃべれる大谷選手を見たい。サッカーのJリーガーはドイツ語だったりフランス語を覚えて帰ってくる。そういう形になってほしい。

 メンドーサら、チームの外国人選手から英語の上達が早いと評判だ。

 大谷

 あいつ(メンドーサ)日本語うまいんで。日本語好きな外国人とかと、ずっと一緒にいるんで。しゃべれないですけど、教えてもらったりはしています。勉強は、ちょこっとだけ。まだしゃべれるとかじゃないですけど。触れるくらいの感じです。

 建山氏

 家族の存在が一番、助かった。奥さんが英語話せたし、子どももいた。食事とか、ちょっと銀行へ付いてきてもらったりとか助かった。

 大谷

 いた方がいいというか、1人で行くよりは2人で行く方が…。誰か信頼できる人が隣にいたほうがそれは、いいですけど。でも難しいところですね。今すぐにというのは…。

 建山氏

 メジャーに挑戦するタイミングもある。まだ3年目。現時点でどう理想を描いているのか。

 大谷

 技術に関してはもっともっと先にピークがあると思うんですけど、体のピークが一番、高い時に行きたいという思いはあります。もちろん日本ハムでしっかりした成績を残すこと。日本一もそうですし、個人的に行くにふさわしい選手、そういう自信がないと意味がない。自分が一番、肉体的に勝負できる時に行きたいかなと思います。

 建山氏

 野球少年を含め、あこがれのメジャーリーガーになるのではないか。

 大谷

 もちろん子どもに目標にしてもらえるのはうれしいですけど、別に僕が諦めないことを伝えたいとか、与えたいとかはないですね。僕が純粋に好きで、野球やってる。頑張ってメジャーリーグに行くっていう姿を見てもらって、格好いいと思ってもらえたらうれしい。僕から何かを強要はしたくない。僕は僕のために頑張って、周りからは、それを見てもらえればいいかなと思っています。