日本ハム武田久投手(36)が、「親子始動」で復活を誓った。4日、埼玉県内のグラウンドで自主トレを公開した。日本一に輝いた06年に誕生した長男・一志君(8)を伴っての新年スタート。少年野球では「4番一塁」と大器の片りんを見せる愛息に「2軍の選手だと思われている」と苦笑いする武田久は、守護神復活を目標に掲げ、約3時間精力的に汗を流した。

 低い重心から伸びのあるボールを投げ込む武田久の後ろで、金属バットの快音が響いていた。ユニホーム姿で黙々とティー打撃をこなす野球少年は、武田家の長男・一志君。「(野球を)やらせたわけじゃないんだけどね、自分からやりたいと。楽しくやってくれればいい」と目尻が下がるパパは「オレを2軍選手だと思ってるよ」と苦笑い。マウンドでの勇姿を見せるためにも復活を誓っている。

 日本一に輝いた06年に誕生したこともあり「一志」と名付けた。チームはその後3度リーグ優勝しているものの、頂点からは遠ざかっている。個人としても、06年に40ホールドで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得し、抑えになって以降も09、11、12年にセーブ王に君臨した。だが13年はけがで7年続いていた50試合登板が途切れると、昨季はわずか9試合の出場に終わった(0勝1敗1セーブ、防御率8・22)。小学2年生となり、昨年野球を始めたばかりの息子が「4番一塁」(2年生以下のチーム)と、早くも才能の一端を発揮しているだけに、当然、父としてもこのままでは終われない。

 宮西、クロッタ、増井と、勝利の継投は固定されている。「現実的に厳しいというのはわかっている」と話す武田久だが、「自分は抑えしか目指していない。そこをやるつもりでやっている」と、通算167セーブのプライドものぞかせる。「課題はあるけど、根本的にやることは変わらない。どれだけチームの力になれるか」。黙々と練習を重ねる武田久が本来の姿を取り戻せば、救援陣はさらに盤石の布陣になる。【本間翼】