「えこひいき」で1軍キャンプゲットだぜ!

 楽天のドラフト1位安楽智大投手(18=済美)が2月1日から始まる久米島キャンプで1軍スタートすることが5日、分かった。コボスタ宮城を訪れた大久保博元監督(47)が明言した。12日から始まる新人合同自主トレの様子を見て最終決定されるが、ドラフト1位の素材を高く評価した。安楽はこの日、愛媛・松山市内で自主トレを公開。1軍キャンプに向けて順調な仕上がりをアピールした。

 安楽へ、うれしいお年玉が届いた。コボスタ宮城に現れた大久保監督がドラフト1位ルーキーの育成方針を問われ、「(キャンプは)1軍にするよ。新人はまず2軍という考えがあるけど、松井裕も上で良い経験をした。自主トレが(体力的に)持ちそうなら1軍というのが今の俺の考え方」と明言。1軍キャンプスタートがほぼ決まった。楽天高卒ルーキーの1軍スタートは07年の田中(現ヤンキース)、昨年の松井裕に続き3人目となる。

 異例の抜てきは、2軍監督として若手の育成経験が決め手だった。昨季はCS進出消滅が濃厚となった後半戦に今野、古川と2人の高卒新人が1軍に昇格。しかし結果を残せず2軍に再降格後、両選手の顔つきが変わったのだ。打たれることで実力差を痛感。憧れのマウンドで悔しさを知り、反骨心と努力の必要性を学んで戻ってきた。「上に上がるといろいろな経験ができる」と早期の1軍同行は財産になると考えている。

 安楽も1軍スタートに燃えている。この日は済美高グラウンドで自主トレを公開。年末年始も休まずに練習しており「上半身のウエートをやるようになって体が大きくなった実感がある」と積極的に筋トレを行い、体重が増加。夏の引退直後の88キロから90キロとなったが、体脂肪は15%から12%台まで落ちた。納得のいく肉体を手に入れ「体が大きくなればパフォーマンスも上がる」と自信をみなぎらせた。

 心配される慢心も、除夜の鐘とともに吹き飛ばした。神戸市内にある父晃一さん(53)の実家に帰省。例年はテレビを見ながらゆっくり過ごすが、「走りたくなったので、年越しはランニングしていました。除夜の鐘を聞きながら」と激走しながら新年を迎えた。前日4日には立ち投げで100球近く投げ込み、この日も報道陣の前で力のある直球を18球披露。心身の充実をアピールした。

 心技体のそろった15年の目標はズバリ「開幕ローテーション」。開幕ローテの可能性を問われた大久保監督も「0じゃない。体力次第だよ」と含みを持たせた。安楽は「2月1日にブルペンに行けと言われて行けるように、準備をしておきたい」と意気込んだ。157キロ右腕の1年目がいよいよ始まる。【島根純】

 ◆高卒新人投手のキャンプ

 昨年は松井裕(楽天)が1軍スタート。キャンプ直前には星野監督が開幕投手起用について「選択肢に入っている」と話した。05年ダルビッシュ(日本ハム)は右膝関節炎のため出遅れ、2軍で別メニュー調整。13年大谷(日本ハム)も投打二刀流挑戦のため2軍スタートだった。