完全復活を目指す中日吉見一起投手(30)が2年ぶりとなる1軍キャンプを志願した。鳥取のトレーニング研究施設「ワールドウィング」で7日、自主トレを公開。首脳陣に2月春季キャンプの1軍スタートを直訴したことを明かした。鳥取では肘の負担を軽減する「鎖骨投法」に着手。退路を断って勝負のプロ10年目に臨む。
崖っぷちに立たされた男の覚悟だった。鳥取で自主トレを続ける吉見がある事実を明かした。
「去年の球団納会で(首脳陣に)北谷に入れてくださいと言いました。やっぱりプレッシャーを感じないといけない。もちろんどうなるかは分からない。チームの指示には従います」
2月春季キャンプで2年ぶりの1軍スタートを要望した。ここ2年間は右肘の不調などでわずか1勝。チームの基本方針はケガで結果を残せなかった選手は読谷(2軍)キャンプとなるが、あえて要望した。
自信の源になっているのが新たに取り組む「鎖骨投法」だ。昨年10月に山本昌、岩瀬らが通う「ワールドウィング」を初めて訪問。そこでフォーム理論を覆すような発見があった。これまではボールをできるだけ前で投げる「球持ちのいいフォーム」を追求してきた。同施設の小山裕史代表(58)からかけられた言葉は「十分長いよ」。目からうろこだった。
「これまでの考え方を捨てて、鎖骨で投げるイメージ。最後に鎖骨でワンプッシュする。右手を引くときにできるだけ右脇腹との距離を大きくする。ダメならまた戻せばいい」
見た目に大きな違いはないが、新フォームで肘の張りも軽減された。
プロ入りして初めてオフを返上した。例年ならこの時期は「30メートルくらいしか投げていない」。今オフは年末年始もトレーニングを続けた。この日も70メートルの遠投を披露。今日8日にはブルペン入りして立ち投げを開始する。08年から5年連続で2桁勝利の男が大変革に挑んでいる。
「危機感ありまくりです。今年ダメなら終わりだなと思う。最低2桁は勝たないといけない。だから休まなかった」
1軍キャンプは確定ではないが、実現すれば吉見にとって“初体験”が待っている。監督となった谷繁兼任監督と初めて一緒に過ごすキャンプになる。指揮官の厳しい視線を浴びながら、状態の良さを見せたい。復活を目指すエースはあえて厳しい状況に飛び込む。【桝井聡】
◆吉見の14年VTR
13年6月の右肘内側側副靱帯(じんたい)再建手術の影響から、キャンプは11年以来、3年ぶりに2軍スタート。2月中旬に9カ月ぶりに投球再開。キャンプでは捕手を座らせるまで段階を進め、計6回の投球練習を行った。7月8日ヤクルト戦(神宮)で1軍復帰を果たすも5回6安打3失点で勝ち負けつかず。その後も右肘の不調などで0勝1敗、防御率4・20でシーズンを終えた。



