沈着冷静に、60点スタートだ。ロッテのドラフト2位、田中英祐投手(22=京大)が18日、埼玉にあるロッテ浦和球場の室内練習場でプロ入り後は初となるブルペン投球を行った。立ち投げで25球を投げ、良い球も、悪い球もあったとして、自己採点は「60点」を付けた。キャンプインまで2週間を切ったが、焦ることなく調整していく。

 尻上がりだった。ドラフト4位の寺嶋寛大捕手(22=創価大)が立ったまま構えたミットへ、田中は投げ込んだ。序盤はシュート回転もあったが、10球を超えるあたりから、指にかかった球が吸い込まれていった。寺嶋の「ナイスボール!」の割合も増えていった。直球だけで20球を投げ、カーブを4球。そして、また直球。「最後の1球は力を入れて放りました」と、元気の良い球で締めた。

 昨年11月以来のブルペンに「期間があいていて、最初にしては良かったかなと思います」と納得できた。それでも、自己採点は「60点」と高くはなかった。「良い球もあって、たまにダメな球もあって。可もなく、不可もなくです」と説明。厳しい自己評価にも思えるが、「(大学の試験で)60点に足らないと単位が取れないんです」と笑って明かした。ギリギリの合格点だった。うぬぼれもせず、謙虚にもなりすぎず、客観的に自分を見つめていた。

 本人以上に、周りの評価は良かった。青山2軍監督は「意外と速いね」と開口一番、驚きの声。「(プロ選手がいなかった)京大というイメージで見てたけど、腕の振りも良い。大卒ドラ2でとっただけの力はある」と認めた。受けた寺嶋も「非常に腕が振れていたと思う」。首脳陣も、女房役も、期待させる初ブルペンとなった。

 キャンプの1軍、2軍の振り分けは未定だ。だが、新人合同自主トレでは抜群のスタミナを披露。ブルペン投球も順調に始めたことを考えれば、1軍スタートの可能性は十分ある。もっとも、田中自身は「自分の状態を見ながら」とマイペース調整を崩さない。この日の25球には、プロで戦っていく工夫も垣間見えた。大学時代より、ゆったりしたフォームを意識しているといい、右足1本で立つ時間を気持ち長めにした。「体が前に突っ込まないように、体重を乗せて。どうしても投げ急いでしまいがち。ゆっくりフォームを確認して投げました」と説明した。丁寧に、進んでいく。【古川真弥】