アンパンマン→フランスパンマン→スティックパンマンだ。広島のキャンプ先乗り組が24日、自主トレに備えキャンプ地の宮崎・日南に入った。松山竜平外野手(29)は昨秋から体を絞り、体重は6キロ減。覚悟の減量で、パワーをそのまま残すことにも成功。俊敏さが加わった松山は右翼レギュラーに本気だ。幸せな1年を目指し、アーンパンチ!

 ほっそりとした顔は、愛称アンパンマンからは遠ざかっていた。松山が覚悟の減量だ。鹿児島で行っていた自主トレで体を絞り、キャンプ地日南に入ってきた。もう8年目のシーズンになる。背番号37も、ドラフト1位野間に明け渡した。何かを変えたい-。決意の表れだった。表情を変えず、ゆっくりとした口調で話し始めた。

 「最近はケガも多くなった。年齢のせいにもしたくないので。膝(左膝内側側副靱帯=じんたい=損傷)をやってから、痩せたほうがいいと感じていた。挑戦?

 そうですね」

 肉体改造を宣言し“フランスパンマン”に生まれ変わった昨年12月初旬から、さらに引き締まった。4勤1休のペースで行っていた自主トレでは、毎日1時間のランメニューをこなした。ショートダッシュを中心に、敏しょう性のメニューをこなした。食事制限も課し、野菜とタンパク質を中心に摂取。昨季94キロだった体重は6キロ落ち、88キロになった。

 新監督の野球に対応する狙いもある。打撃には自信がある。守備、走塁を重視する緒方監督の方針に、食らいついていく。秋季キャンプでは一塁の守備にも就いたが「右翼です。外野がいいので」と即答。2段階減量の“スティックパンマン”は鈴木誠や天谷、野間らがひしめく激戦区で守備位置を奪い取る気でいる。

 「細かい動きも増やすようにしてきた。守備、走塁ももっとレベルアップしたい。監督のなかのレギュラーのパーツになりたい」

 本家は顔が汚れると力が出ないが、体が絞れても力は出るようだ。減量で心配されるパワー不足も、打撃練習で感じることはない。まさに理想の肉体だ。減量しても打撃のスタイルは不変。打率3割は当然、さらに上を目指していく。「心から幸せな1年にしたい。若いやつらには負けたくない」。松山はどこまでも本気だ。さあ、アンパンチの乱れ打ちといきたい。【池本泰尚】