シーツの再来だ!!

 広島の新外国人ヘスス・グスマン内野手(30=アストロズ)が9日、ランチ特打で快音を響かせた。右中間方向を中心に打ち返すミートに徹した打撃と選球眼に、打撃投手はかつて広島、阪神で活躍したアンディ・シーツ(現阪神駐米スカウト)の姿を重ねた。この日は沈黙も破り、打撃理論なども解禁。緒方監督への忠誠心を口にしたスラッガーが、安打製造機として他球団の脅威となりそうだ。

 最高気温7度と肌寒い中、日南・天福球場に乾いた打球音が響いた。新外国人のグスマンは、無駄のない小さなテークバックから右中間方向へ鋭い当たりを次々と打ち返した。44スイング中ヒット性の当たりは16本。そのうちセンターから右方向への打球が14本と、キャンプ初日から基本に忠実な打撃を繰り返している。

 ミート力だけではない。全63球中19球を見逃し、ボール球に手を出さない徹底ぶり。自己流の調整法を貫く助っ人は、ついにこの日キャンプ初日からの沈黙を破り、話し始めた。

 「パワーを使わずにアプローチして、流して打つことを心掛けている。自分の打てるゾーンの球をきっちり捉えてライナー性の打球を広角に打ち返す。それを打撃では意識している」。

 冷静に取り組む姿勢とシュアな打撃に、対峙(たいじ)した芦沢打撃投手は03年から2年間広島に在籍し、阪神でも活躍したシーツと姿を重ねる。「タイプ的に似ている。強引さはなく柔らかいバッティングをする」。日本球界5年で通算778安打、打率2割8分9厘のスラッガーのような活躍を期待する。

 春季キャンプ初の休日前夜の5日には、ほかの外国人選手とともに緒方監督と会食。「監督の野球に対する熱意や野球観を知ることができた。僕らがプレーしやすい環境を作ってくれている」。忠誠を誓った。

 寒波の影響で連日気温が上がらず「寒いのは苦手」と苦笑い。初の日本での生活にも戸惑いはあるが、自己流の調整法に迷いはない。「課せられた練習に100%の力で取り組んでいく。シーズンの開幕まで全てを出し切ってやる」。どこまでも忠実な助っ人への期待は高まるばかりだ。【前原淳】