ついに投げた!

 そして打たせた!

 ソフトバンク工藤公康監督(51)が15日、宮崎春季キャンプで特打の内川聖一外野手(32)相手に打撃投手を務めた。テンポよく89球を投げ、ボールはわずか8球。81スイングで安打性は33、うち柵越えは15本と気持ちよく打たせて、まだ実戦に出ていない内川の調整をサポートした。3度目の紅白戦では攻撃的なサインを多用した。

 左手のアンダーシャツをグイッと引っ張る姿、投球フォームは現役時代そのままだった。工藤監督はリズムよく、どんどん球を投げ込んだ。慣れるにつれて球速は増し、制球力も上がった。内川が見逃したボールは8球だが、46球目以降はわずか1球だった。

 「もうフラフラです。いい打者でした。打ち損じがない。ボールの軌道に素直にバットが出る。落合さんみたい」

 終盤にはカーブをリクエストされ3球披露。内角低めへ大きく曲げたカーブをスタンドに運ばれた。「ボテボテになってもいいコースをポール際に…」と主軸の打力に驚いた。

 前日14日、工藤監督は室内で35球の壁当てを行い、藤井打撃コーチに「肩ができた」と準備OKを伝えていた。まだ抜けた球が当たる危険性があるため、右打者限定と条件はあった。一番の強打者として藤井コーチが、対戦相手に内川を指名した。

 内川は「幸せ。球速は120キロよりも、もう少し出ていたと思う。カーブも打ってみたかった。実戦をやっていない僕にあれだけキレのある球を投げてもらえてうれしい」と感謝した。

 気持ちよく打たせることこそ、工藤監督の最大の目的だった。抜群の制球力でそれを果たした。今季の4番候補でもある内川に「4番でもいいんですけど、あれだけヒットを打つんだから3番を任せたい」。8年連続打率3割を狙う男の技術をマウンドで肌で感じたからこそ、今季も3番を任せる思いを強くした。

 指揮官は12日から左足ふくらはぎに張りを感じている。B組(2軍)を含め施設内を歩き回り、疲労もたまってきているが「投げるのには関係ないから」。今キャンプ最多の3万3300人が集まった日曜日の初登板は、ファンサービスの意味もあっただろう。

 投げ終えた後、タオルを首に巻き、楽しげな笑みを浮かべた。キャンプも終盤を迎え、打撃投手やコーチ陣も疲れてきている。「少しでも手伝っていけるようにしたい」。手のマメが治ったら対決したいと希望している怪物松坂に対しても投げる気満々。連覇を狙うソフトバンク打線を工藤監督という最高の打撃投手が仕上げていく。【石橋隆雄】

 ◆現役時代の工藤監督対内川

 内川が横浜時代の03年からの3年間、巨人工藤と対戦。通算12打数3安打で打率2割5分、1本塁打、1打点。本塁打は04年5月28日に東京ドームで左翼席へ運んだ。