社会人野球を統括する日本野球連盟(JABA)は25日、東日本大震災の被害を受けて都内で臨時理事会を開き、都市対抗の開催時期を8月26日開幕から秋に変更し、併せて10月29日開幕の日本選手権の中止を決めた。

 同連盟の鈴木義信副会長(67)は「社会人野球は企業の支援なくして活動できない。今回は間接的にも被害を受けている企業も多く、(4月以降の)大会に出場できないというチームが続出しました」と苦渋の決断に至った経緯を説明した。今年は優勝チームが日本選手権の出場権を得る各地区連盟主催の全10大会もすべて中止とし、同連盟の公式大会は都市対抗と全日本クラブ選手権の2大会だけとなる。

 都市対抗に関しても開催概要の大幅変更を強いられる。時期は「秋」としか決められず、今後は4月19日に開催する常任理事会までに煮詰める方針。鈴木副会長は「電力事情を考えると難しい。東北と関東以外で」と今年に関しては東京ドームでの開催は断念し、今後は大阪ドーム、ナゴヤドームなどでの代替開催を目指す。出場32チームは崩さない方針だが、「福島原発の状況次第では、東北は予選どころじゃない」と関東地区も含め、運営等の再考を迫られる地区は多い。

 昨年まで38回の歴史を数える日本選手権が中止となるのは史上初。同副会長は「2大大会は何としてもやりたかったが、都市対抗をずらせば、秋に2大会を開催するのは常識的に難しい」と説明した。今年は都市対抗優勝チームが日本選手権優勝を兼ねることも決まった。