<首都大学野球:東海大7-0武蔵大>◇第3週初日◇23日◇大田スタジアム

 巨人がドラフト1位指名を表明している157キロ右腕、東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)が武蔵大を2安打完封し、通算13完封のリーグタイ記録に並んだ。最速146キロながら、カーブを有効的に使って12奪三振。通算34勝はリーグ4位タイ。また、菅野とともに春5完封のリーグ記録を持つ日体大・辻孟彦投手(4年=京都外大西)も帝京大に7安打無失点。通算10度目の完封勝利を挙げた。

 宣言通りの見事な完封劇だった。東海大・菅野は8回から一気にギアチェンジ。武蔵大の打者を3者連続空振り三振に切ると、9回の先頭打者も3球三振。内野ゴロを挟み、最後は外角低め144キロの直球で再び空振り三振に仕留めた。前日22日に「何とか完封して記録にも手がかかるように」と意気込んだ通りの内容で投げ終え、「記録が目の前に迫っていたので、3者凡退でホッとしました」とほほ笑んだ。

 2安打無四球12奪三振。通算13完封は、史上3人目のリーグタイ記録だ。最後の2イニングでボール球はわずか3球。110キロ台のカーブと速球のコンビネーションで自在にカウントを整え、空振りを量産した。「開幕戦は最後にエンジンがかからなかったので、今日は意識しました」。記録到達目前の9回に連打で失点した筑波大戦を反省。この日最速の146キロは8回に計測するなどペース配分も完璧で、3回でKOされた春の雪辱を果たした。

 ネット裏では日米9球団のスカウトが視察。1位指名を表明している巨人長谷川スカウトは「前回よりリリースポイントが安定したね。縦のカーブがすごく良かった」とほれ直した。

 打者をよく見て投げられるようになったのは、7月の日米大学選手権の成果だ。「外国の打者と対戦して、例えば3球連続カーブとか、打者が予測しない球を選ぶことが必要だと思った」。常に上のレベルで通用する投球を模索している。携帯電話の待ち受けには、ともに「ビッグ3」と称される東洋大・藤岡、明大・野村と米国で撮影した3ショットを設定し、モチベーションを維持している。

 今春リーグ戦通算30勝を達成した大田スタジアムで新たな記録を成し遂げた菅野。「他の個人記録と違って、完封は勝利のために狙ってもいい記録。ノーヒットノーランもやってみたい」。快進撃は止まりそうにない。【鎌田良美】