<第82回都市対抗野球:西濃運輸6-3室蘭シャークス>◇1回戦◇27日◇京セラドーム大阪

 10年ぶり2度目出場の室蘭シャークス(室蘭市)は、西濃運輸(大垣市)に逆転負けを喫した。32度の出場を誇る常連相手に、6回までリードするなど互角の勝負。終盤に力尽き都市対抗初勝利は逃したが、先発の磯貝剛投手(29=苫小牧駒大)が6回2失点と粘り強い投球をするなど、収穫の多い敗戦となった。

 加藤徹監督(44)のすがすがしい表情が充実感を物語っていた。「久しぶりに全国の強豪と戦えて楽しかった。これだけやれるというところを見せられた」。昨秋の日本選手権は1回戦でJFE東日本に0-5と完敗したが、今回はがっぷり組んで食い下がった。3回には5番遠藤大左(だいすけ)外野手(23=富士大)、7番半田勇気捕手(26=苫小牧駒大)の適時打で3-2と逆転。計9安打で北海道代表の意地を見せた。

 厳しい条件ではあった。相手は先発1~3番まで強豪トヨタ自動車からの補強選手を並べてきた。室蘭シャークスは、同地区の盟主JR北海道が社内事情で予選を出場辞退。当然、同チームからの補強は望めず、自チームの選手だけで真っ向勝負を挑んだ。「(補強は)したかったですが、これは仕方ありません」と加藤監督。ハンディのある中で戦い抜いた経験は必ず次に生きてくるはずだ。

 都市対抗初体験の先発磯貝は「これほどの大きな歓声の中でやれたことは糧になる」と言った。予選で登板機会のなかった新人石山智也投手(23=北大)も9回2死からマウンドに立ちしっかり三振締めした。リベンジへの準備は、もう着々と始まっている。【永野高輔】