<東京6大学野球:早大5-0立大>◇第3週2日目◇29日◇神宮

 昨夏の甲子園優勝投手の早大・吉永健太朗(1年=日大三)がリーグ戦初完封を果たした。立大に二塁を踏ませぬ散発3安打7奪三振で、デビューから2戦2勝。これで早大は開幕から4連勝となり、勝ち点2で首位の法大に並んだ。

 ゴールデンウイークの陽気に集まった観客1万2000人が、惜しみない拍手を送った。早大・吉永がスコアボードに並べた0は9個。「完封は最初から意識してました。ストレートの球威はまだまだだし、納得のいく投球ではないですけど」。デビュー2戦目のルーキーということを忘れさせるほど、冷静なマウンドさばきだった。

 3回まで完全の散発3安打完封。2回の3者連続など7三振を奪い、立大打線に二塁を踏ませなかった。実績は現時点で“佑ちゃん超え”。同リーグで30勝300Kを達成した日本ハム斎藤も5年前、同じ背番号16を背負ったが、初完封は1年秋の最終戦だった。

 アツイと燃える。東京は気温26度の夏日。初完投でバテそうなものだが「疲れは出なかったです。声援の中で思い通り投げるのも、だいぶできるようになりました」とけろり。夏の甲子園で連投を乗り越えた経験が、暑さにも、熱視線にも動じない男にした。

 前週の東大戦からいまだ15回無失点。大学のキツイ走り込みで3キロ痩せ、直球も130キロ台という試運転状態でこの結果だ。伝家の宝刀シンカーは、大学生でもそう打てない。「でもこのままじゃいずれ打たれます。フォームもしっくりきてないです」。完全体の吉永の投球が、待ち遠しくてならない。【鎌田良美】