明日16日開幕する明治神宮野球大会(東京・神宮球場)に東北代表として3年ぶり4度目出場の八戸学院大(青森)は、被災地・大槌出身の岡谷惇喜投手(1年)が次期エース候補として初の全国舞台での好投を誓った。

 神宮大会に向け八戸学院大が抱える弱点は、エース左腕秋山翔夢(3年)に次ぐ2番手以降の投手がいないこと-。そんな状況を打破すべく意気込むのが1年生右腕岡谷だ。「秋山さんに頼ってばかりではなく、自分も引っ張っていけるようなピッチャーになりたい」。神宮で力を出し、次期エースに名乗り出る。

 16日の福岡大(九州3連盟)との初戦は秋山が先発し、勝って迎える翌17日の亜大(東都)戦は秋山以外の6投手のリレーでつなぐ予定だ。秋の北東北リーグで1年生ながら秋山の4勝に次ぐ3勝を挙げた岡谷は「チームのために思いっきり腕を振る」。カーブ、スライダーを散らしながら、最速142キロの直球で押し、少しでも多いイニングを投げるつもりだ。

 11年の東日本大震災による津波で岩手・大槌町の自宅を失い、仮設暮らしを余儀なくされた。それでも大槌高のエースとして3年の夏にチームを8強に導いた。今春、全国の舞台を目指し八戸学院大に入学。1年目にして夢のマウンドに立つチャンスが回ってきた。プロや社会人などさらに上のステージで野球をする目標を持つ岡谷にとってはこの上ないアピールの場。「緊張より楽しみの部分が大きい」。チームのため、応援してくれる地元の家族、仲間のためにも好投を見せる。