<運命の日を待つ(上):大学生編>◆浜田智博投手(宮崎工-九産大)

 変則左腕でプロの強打者をねじ伏せる。九産大・浜田の元には12球団から調査書が届き、巨人、オリックスなどが熱視線を送る。DeNAも上位指名を検討するなどここにきて各球団の評価が急上昇している。

 「2回目のドラフトですから。高校の時は指名されず悔しかったですが、大学で技術も心も成長できました」。宮崎工ではセンバツに出場。プロ志望届を提出したが、夢はかなわず悔し涙を流した。

 浜田の特長は変則フォーム。左手のテークバックは短く、すぐトップの位置に来る。同時にグラブを持つ右手も左手と平行に上がる。「バンザイ投法」とも呼べる独特な投球フォームは、球の出どころが見えにくく、最速144キロの直球がより速く見え、タイミングが取りづらい。

 「小学生(恒久小)までは普通だったんですけど、中学(大淀中)から今のフォームです。右手で壁をつくって、自分の力が一番、ボールに伝わる投げ方なんです。プロでもこのフォームで勝負できたら」。自慢の制球力で、九産大での4年間で24勝(8敗)を挙げた。

 今夏にはオランダで行われたハーレム国際大会の大学日本代表にも初めて選ばれた。6月の選考合宿では今ドラフトの目玉、早大・有原航平(4年=広陵)と再会した。「あっちから声をかけてくれました。投げ方が独特だったので覚えていると言われました」。宮崎工3年のセンバツ2回戦で投げ合い、0-1でサヨナラ負けを喫した相手だった。

 「有原が高校時代対戦して一番すごい投手だった。負けたくないですね」。現段階での注目度は雲泥の差があるが、プロで投げ合い、今度は投げ勝つことを夢見ている。【石橋隆雄】

 ◆浜田智博(はまだ・ともひろ)1992年(平4)10月1日、宮崎市生まれ。4歳から宮崎玉竜スポーツ少年団で軟式野球を始める。宮崎工では3年春、センバツ出場。1回戦では前橋工に2安打完封勝利。九産大進学後は1年春から登板。3年春には九工大相手にノーヒットノーランを達成。4年春は神宮での全日本大学野球選手権に初出場し8強入り。183センチ、75キロ。左投げ左打ち。