井川と榎田、必勝リレー!

 阪神ドラフト1位の新日鉄住金鹿島・横山雄哉投手(20=山形中央)と同2位石崎剛投手(24=三和)が24日、茨城・鹿嶋市の同社で指名あいさつを受けた。担当の中尾スカウトは両者のリレーで初勝利の青写真を描いて期待。横山は活動拠点である茨城出身の元阪神井川の背中を追って、1年目に挑む。

 のどかな敷地内にそびえる野球場。その一角で横山は練習前、仲間の祝福を受けた。特別な1日から一夜明けて、一息ついた。入部3年目。なぜプロの指名を受けたのか。大きな要素は走り込みとウエートトレーニングでの体作りだった。

 得意ではない走り込み。ある日、チームは車を鹿嶋の海岸に走らせた。「きつかったんです、砂浜は」。突然の「砂浜ラン」での重たい1歩を思い返した。それでも強くなるために走った。そんな中、車で約45分北上した大洗町にある「大洗海岸」を地盤にするプロの大先輩を知った。元阪神のエースで茨城出身の井川(現オリックス)が毎年、自主トレで走り込んでいるのだ。

 「やってみたいですね」

 これまでは地元山形への帰省時に、車中から何度も大洗海岸を眺めてきた。癒やしの場は一転、鍛錬の場へと変わりそうだ。阪神に入るからには…井川トレを踏襲。一回り太くなった下半身を引っさげて、関西に乗り込む覚悟でいる。

 「個人的には2桁勝利が目標になってくる数字」

 午前中には阪神スカウト陣の訪問を受けた。和田監督直筆の「1年目から開幕ローテーション入りを期待しています」というメッセージも受け取った。担当の中尾スカウトが「まだ子どもの部分がある」と話す20歳。ただ、2桁を志す口調は本気だ。

 井川は23歳を迎えた02年シーズンにプロ初の2桁勝利をマーク。横山が1年目から宣言通りに活躍すれば、かつてのエースを超える出世だ。スキンケアを欠かさないイケメンボーイも、野球となれば別。砂まみれになりながら井川ロードを突っ走る。【松本航】