日本ハム金子誠内野手(33)が28日、「レギュラー白紙」で来季へ臨むことを明かした。札幌市内の球団事務所で900万円減の年俸8100万円(推定)で契約を更改。二岡加入で遊撃は激戦区になるため、かねて希望していた二塁への再転向も視野。二岡の実績、実力を認めた上でバックアップ要員になる覚悟も示唆するほどの不退転の決意を見せた。

 冷静に戦局を見つめていた。金子誠が、二岡入団で定位置争いが激化する来季を、シビアに受け止めた。実績十分の新戦力、陽ら伸び盛りの若手らとの遊撃争い。03年以降、6年間守り通してきた座に自負をのぞかせながらも、あっさりとフォア・ザ・チームの考えも示した。

 金子誠

 今までも誰とも(レギュラー争いで)戦ったことはない。僕は二岡みたいな野球はできない。彼みたいなスケールの選手が入れば、チームは強くなる。バックアップでも何でもする。

 厳しい現実を受け入れ、前を向いた。この日、900万円ダウンでサイン。開幕直後から慢性的な右鼠径(そけい)部痛などに悩まされ2割1分6厘にとどまった。96年にレギュラーを獲得以後、05年以来となるシーズン100試合出場未満に終わった。「1年間、自分の体と闘っているみたいだった」との苦闘だった。

 完全復活を目指し、真価が問われる来季。遊撃だけではなく、二塁、三塁への挑戦を、首脳陣から促される可能性もある。特に二塁は98、99年に2年連続でゴールデングラブ賞を受賞した“古巣”。かねてあったこだわりは封印していたが、解いた。「二塁をやりたいのはあるけれど、自分から言うことでもないでしょ。でもそれがチームのためにやるべきことってなったら、やる」。

 仮にバックアップ要員に回れば三塁も含めオールラウンドで守備の名手だけに、また違う存在感も増す。チーム強化のための新たな道も視野に入れながらも、レギュラー死守への挑戦が始まる。選手会長の座を田中に譲ったのも「自分の身を守るのは取っ払った」という決意の表れ。チームきっての酒豪だが今後は節酒に努め、本格的な体調管理へと乗り出すことを決めた。「二岡が20本(本塁打を)打つからって、25本打つとは言えないから」。わが道を貫きながら、金子誠が試練の09年を進む。【高山通史】