<WBC壮行試合:オーストラリア3-10日本>◇24日◇京セラドーム大阪

 中田翔内野手(23)が「ラッキー侍」になった。1点を追う4回1死。右腕サールの直球を強振した。打球が二遊間を駆け抜ける。この2戦連続安打が起点になり、松井の決勝三塁打で逆転劇が完結した。「バットが振れているんで…。昨日も言ったように、周りにすごい打者がいる。塁に出れば、先輩が何とかしてくれる」と謙虚に答えた。前日23日も8回に左前打で突破口を開き、相川の逆転3ランが生まれた。中田が打てば、試合が動く-。まさに「侍版ラッキーボーイ」だ。

 野手最年少の23歳でちゃめっ気のあるキャラクターは、グラウンド内外でなくてはならない存在だ。18日に行われた選手による決起集会では、盛り上げ役を買って出たという。先輩からイジられることで、チームは1つにまとまっていった。もちろん、打撃フォーム修正の猛特訓はこの日も続いた。練習開始から2時間も早く球場に姿を見せた。立浪打撃コーチにベテラン稲葉も加わった。すり足打法の完成へ、バットを振った。宮崎から大阪に移動した際には「バッティングは難しいですね…」と漏らしたが、首脳陣の声に真摯(しんし)に耳を傾けている。

 6回の打席では自打球が左スネに当たった。激痛が走ったが、「大丈夫です!」と弱音は見せない。7番という下位打線にいながら、連日のように局面を打開。代表選考の当落線上にいたのがうそのようで、このままレギュラーに定着しそうだ。【田口真一郎】