<WBC:プエルトリコ4-3米国>◇15日(日本時間16日)◇2次ラウンド2組◇米フロリダ州マイアミ

 プエルトリコが前回大会の悔しさを乗り越え、初の準決勝進出を決めた。WBC2次ラウンド2組は15日(日本時間16日)、マイアミで敗者復活2回戦を行い、プエルトリコが米国に快勝。09年同大会では第2ラウンドで米国にコールド勝ちしながら、敗者復活戦での再戦でサヨナラ負け。全員メジャーの因縁の相手に逃げ切り勝ちし、雪辱を果たした。既に進出が決まっている同組のドミニカ共和国と1組の日本、オランダを含め4強が出そろった。プエルトリコは16日(同17日未明)、ドミニカ共和国との2次ラウンド2組1位決定戦に臨む。

 4年間の重たい過去が、守護神の背中にもたれ掛かっていた。9回裏、リードはわずか1点。プエルトリコの抑え、ロメロはメジャー軍団をマウンドからにらみ付けた。先頭のジョーンズをフルカウントとし、最後は外角高めの143キロ直球で空振り三振。続くビクトリノに遊び球はない。3球で見逃し三振。2死から148キロ直球でロリンズを中飛に仕留めると、両手を天に突き上げた。

 もうお祭り騒ぎだ。歓喜の輪がマウンド後方に膨れ上がる。ロメロは万感の思いを抑えきれず、頭を抱えながらグラウンドに倒れ込んだ。「チームにとって大きな勝利。残り試合も勝つために戦う」と興奮は冷めやらない。優勝したかのような喜びには理由がある。09年の前回大会、つかみかけていた準決勝切符を奪われたのは米国だった。

 4年前の同じ日だった。09年3月14日(日本時間15日)同大会の第2ラウンド2組で米国と対戦。11-1の7回コールド勝ちを飾った。だが次戦で敗戦し、敗者復活戦で再び米国と対戦。最終回までリードしていたが、8回裏2死から登板していたロメロがつかまり、最後はサヨナラ負け。2大会連続で決勝ラウンド進出はならなかった。絶対的クローザー不在が、大きな敗因だった。

 4年の時を超え、ロメロが8回裏2死に帰ってきた。満塁のピンチにホスマーを二ゴロ。試合最後の打者となったロリンズは4年前に四球を与え満塁とし、降板を告げられた相手。打たれるわけにも、逃げるわけにもいかなかった。ロドリゲス監督は「プエルトリコとラテンアメリカの誇りを持ってサンフランシスコに向かう」と胸を張った。

 全員メジャーの米国に対し、昨季メジャーを経験した選手は10人しかいない。雪辱のプエルトリコが、世界を驚かせる。

 ◆プエルトリコ代表の特徴

 投手陣で粘り、打撃の奮起を待つ戦いで勝ち抜いてきた。投手陣は前横浜のアルバラード(ドジャース3A)や昨季試合出場なしのM・サンティアゴ(同)が先発の中心。この日もN・フィゲロア(Dバックス3A)先発と、メジャー級を欠いて経験不足を不安視された。だが細かい継投で失点を最小限に抑えてきた。打線はメジャー通算334発のベルトラン(カージナルス)、カージナルスでワールドシリーズ制覇したY・モリーナらが主軸。だが2次R敗者復活戦前までチーム打率2割3分4厘、12得点ともに2次R進出8チーム中最下位。敗者復活戦2戦も4得点ずつと、まだ爆発していない。