愛称通りのパワフルな相撲で連敗を3で止めた。「湘南の重戦車」こと新十両の朝弁慶。同じ07年春初土俵の天風を下して6勝目。205キロの相手を浮かせるほどの腕力を見せ、苦節8年で関取に昇進した場所での勝ち越しが見えてきた。

 190センチ、185キロ。恵まれた体が、バージョンアップした。春場所入門した元ボディービルダーの三段目朝山端にトレーニング法を教わり、肩周り中心に強化。「後ろに下がらなくなった」と成果を口にする。弟弟子のことを「筋トレに関しては師匠」と言う素直さも成長を後押しする。そんな朝弁慶の姿を見て、高砂部屋では他の力士の筋トレ熱も過熱。東京の部屋の地下トレーニング室は大にぎわいで20キロのおもりの数も2・5倍に増えたそうだ。

 指導役の朝山端は「相撲は脇を締めてやるから、おもりを上げるときも脇を締めてもらってます。ケガをしないように、軽めの負荷で、少しずつ筋肉を増やすように」と話す。「鍛え方を知ってる先生がいるのは大きいね。稽古以外でいろんなことをするのが大事。昔は小錦も倉庫でベンチプレスをやってた」と高砂親方(元大関朝潮)。熱心に体を鍛え始めた弟子から「新型重戦車」も出てくるかもしれない。【木村有三】