WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志(35=ワタナベ)が、節目のV10戦で「最強の最高齢」王者となる。5日には都内で行われた前日計量に出席。挑戦者の同級7位ジョムトーン(タイ)とともに1回でクリアした。KO勝利となれば世界戦でのKO数が国内の歴代最多に並び、同時に最高齢防衛記録も更新する。15年の初戦で、日本のエースが歴史に名を刻む。

 計量を終えた内山は「よしっ」とつぶやき、両拳を握り込んだ。小麦色に焼けた肌は鍛え抜かれた体を際立たせ、貫禄すら漂った。プロテインとオレンジジュースを混ぜた飲み物でエネルギーを補給。11度目となる世界戦の準備を整えると「自信は100%ある。『やっぱり内山は強い』と言われる試合をする」と力強く言い切った。

 10年1月の世界王座奪取から5年4カ月。節目のV10戦には大きな記録がかかる。これまでの世界戦10試合の戦績は9勝(8KO)1分け。今回KOすれば、KO勝利数が「9」となり、具志堅用高氏と並び国内世界王者の最多記録となる。内山は「まずは勝つこと」とベルト死守に集中も、豪快決着を望むファンの思いも理解。「チャンスがあれば倒したい」とニヤリと笑って付け足した。

 記録はそれだけではない。試合当日は35歳5カ月。勝利すれば、元WBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃氏を超え、国内世界王者の最高齢防衛記録を更新することになる。王座奪取前からフィジカルトレーナーを務める土居進氏(44)は「衰えは全く感じていない。今もさまざまな数値が少しずつ上がっている」と解説。「細かい筋力を鍛えればもっと動きが良くなるイメージもある」。

 内山もムエタイで300戦以上の実績を持つジョムトーンへの警戒心は強い。タイの英雄は「内山は強い選手だが、だからといってわき上がる特別な思いはない」と余裕の表情で言い放った。だが、王者としても手応えのある挑戦者は望むところ。「後々は統一戦や4団体制覇をやっていきたい。そのためにも落とせない試合」と力を込めた。節目の防衛を果たし、ビッグマッチを呼び込むつもりだ。【奥山将志】