元世界2階級王者の長谷川穂積(34=真正)が、1年ぶりの再起戦で勝利を飾った。29戦無敗だったWBCスーパーバンタム級9位のオラシオ・ガルシア(24=メキシコ)を3-0の判定で下した。進退を懸けた戦いを制し「勝てると思ってなかったんで、勝てて良かった」と、胸をなでおろした。

 序盤から軽快な動きを見せた。相手の強打を、膝を使いながらうまくかわし、ガードが空いたボディーを巧みに攻めた。ロープに追い詰められそうになっても、足を使いながら反撃のパンチを繰り出し、体勢を入れ替えた。苦しいときは、クリンチで逃れた。直前の4月27日に右足首の靱帯(じんたい)を一部断裂していながら、気力を振り絞っての勝利。昨年4月に敗れて引退も考えた世界戦を引き合いに出し「1年前は、試合に勝ちたい気持ちが足りなかった。今日のスタイルが僕のスタイル」と胸を張った。

 3階級王者の井岡一翔や辰吉丈一郎、寿以輝親子、元2階級王者の八重樫東らが観戦する中での復活劇。「この試合に懸けてきましたから。(1年)前の試合は打たれてダメージもたまったけど、しっかり気持ちが入っていれば、打たれ強いんです。そう簡単には倒れないことを証明したかった。相手のパンチは効きもしなかった。全然大丈夫」。長谷川は、元名王者らしく堂々と言いはなった。