混戦のAブロックで、棚橋弘至(38)が苦手の矢野通を下し、3勝目を挙げた。前半戦で2敗を喫し、もう負けられない中で、新技「ツイスト・アンド・シャウト」で流れを変えて勝利をつかんだ。3勝同士の対決を制した柴田勝頼が、勝ち点8で首位に立ち、棚橋ら6人が勝ち点6で追う、大混戦となっている。

 進化を続けなければ勝ち抜けない。棚橋は15分過ぎ、矢野の首に腕を巻き付け、ドラゴンスクリューの要領でひねり倒した。G1制覇のために編み出した新技が決まって、リング上で絶叫。そのまま、コーナーに駆け上がり、ハイフライフローでとどめを刺した。

 「名前はツイスト・アンド・シャウト。立ち上がって、叫ぶところまでが新技。2敗とせっぱ詰まって、カド番は続くけど、もう1歩も引けない状況で、力を出し切ってまくるのがオレだから」。この日もリング上で15分のファンサービス。ブロック予選だけで、6度のメーンを任された責任をしっかり果たしてきた。

 07年にG1で初優勝した時は、予選を2勝1敗2分けで突破し、栄冠をつかんだ。昨年は前半不振も、後半に巻き返し、10月にIWGPヘビー級王座に返り咲き、今年1・4東京ドームでオカダの挑戦を退けた。さらに、雑誌「Number」の新日本総選挙でも終盤に中邑を逆転し、1位を獲得している。

 プロレス人気が復活した中で、NO・1を維持するのは、試合、ファンサービスに常に全力投球する姿勢が評価されているからだ。「有名であるということは大事なんです。だから疲れている暇がない」という棚橋は、落ち着けるはずの家庭ですらソファでゆっくり休まない。「子供に、お父さんは疲れないといっているのにって、怒られますから」。2度目の優勝で真のエースを証明するために、棚橋に休息はない。【桝田朗】