偉業を目前にする世界王者も、あの大一番に刺激を受けていた。

 秋頃に見据えるV13戦に向けて都内のジムで練習を開始したボクシングのWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)が30日、「心配なくらいの強行出場でしたけど、同じ戦っていくものとして、すごいですよね」と感嘆の声を上げた。

 話題は大相撲で優勝決定戦を制して優勝した新横綱の稀勢の里。3月2日のV12戦を7回TKOで勝利後の休暇中に、その雄姿に目を見張ったという。リングと土俵と戦う舞台は異なるが、1対1で相手と勝敗を競うのは同じ。格闘家として、故障を抱えながら戦い抜いた姿に、「横綱という責任感がみんなに伝わりましたよね」と振り返った。

 自身も、ボクシング界の横綱=世界王者として、偉業が迫る。具志堅用高が80年に樹立した日本記録の世界戦連続防衛13回に挑む防衛戦が待つ。「(自分も)ジムの後輩に勉強になるような、成長できるような姿勢をみせていきたい」と、さっそくサンドバッグを打ちながら汗を流していた。