20日のWBA(世界ボクシング協会)世界ミドル級王座決定戦で不可解な判定負けを喫したロンドン五輪金メダリストの村田諒太(31=帝拳)が26日、現役を続行する見通しとなった。WBAが25日にアッサン・エンダム(フランス)との直接の再戦を命じ、さらに村田の負けと採点したジャッジ2人に対する6カ月の資格停止処分を公表したことを受けてコメントを発表。再戦を「今後を考える重要な材料の1つ」とし、「前向きな答えを出したい」と述べた。

 村田が所属マネジメント会社を通じて発表したコメントには、感謝と謝罪と、まだボクシング人生が続く予感に満ちていた。最後にこう結んだ。

 「幸いなことに、試合における大きなダメージもなく、ボクシングに対する情熱も失われておりませんので、この再戦指示も今後を考える重要な材料の一つとしてとらえ、前向きな答えを出したいと思っています」。

 その前段で即時対応してくれたWBAへの謝辞、判定決着できなかった後悔をにじませた。進退は所属の帝拳ジムと相談中との前置きはあったが、「情熱」を体現するリングに戻る意志にあふれていた。

 20日の王座決定戦後、物議を醸す判定に世界中で批判が渦巻いた。WBAのメンドサ会長が謝罪し、25日には本部のあるパナマで会見。村田の負けと採点したパディージャ(パナマ)とアール(カナダ)のジャッジ両氏を6カ月の資格停止とする処分を発表。公表するのは異例の対応だった。さらに直接対戦も命じた。

 村田が現役続行した場合は、再戦は1つの選択肢となる。統括団体の指令に拘束力はなく、あくまでも両陣営が交渉して試合は決まる。帝拳ジムの本田明彦会長(69)は村田の実力を高く評価した他団体のWBC、WBOから試合のオファーが届いていることを明らかにしており、世界再挑戦への道はエンダムとの再戦1つではない。

 村田は来週にも会見を開くなどして、進退を明らかにする見込みだ。「前向きな答え」を世間に伝え、前に進む。【阿部健吾】